師カシュウに山中で育てられた青年ゼン。師の死後、山をおりて目的のない旅に出る。ふもとの里から始まる命をかけた戦いに、ゼンは強さへの疑問を覚える。師が教えてくれたこと、そして人と出会う意味とは。
山田章博のイラストも加わり、ノベルス版として再刊開始。海外でも通じる時代小説を森博嗣が書いた背景があって、固有名詞はほとんど登場せず淡々と戦い、思考していく。シリーズ途中で読み止めていたので再読開始。
八島財閥の御曹司、杉彦が惚れた女はミミイ・ローイと呼ばれる売れっ子のヌードダンサーだった。猛烈な反対を退け新婚生活に入った2人だが、幸せな日は長くは続かない。当主である義父、龍之助が強打の末、殺害されて発見された。弁護側が召喚した証人の発言で、事件は一転するが……。
近所の書店がポップで勧めていたので読んでみた。この表現は好きではないけど、教養としてのザ・古典ミステリーといったところか。1963年の作品だけに読みなれた印象はあるが、現代ミステリーに通じるネタだ。道尾秀介の解説は愛があふれていて素晴らしい。
私の名前は紙越空魚。埼玉の大学に通い、ゼミの課題をどうするかが最近の悩み。ゼミにいる寺生まれの彼が気になる……。校内で金髪美女に声をかけられ、黒塗りの高級車で謎の施設に連れられ、いきなり記憶喪失と言われても、私どうしたらいいの?
シリーズ6作目でネットネタの寺生まれのTさんが登場。力強い味方か!? なわけはない。作業着の男とはまた違うかたちで物語に介入し、作者のひねくれた上手さが光る1作になった。シリーズ初長編ではあるけど、今までのガジェットで薄まってしまった印象がある。しかしもっと長編で読みたいから待っています……。