アンソニー・ホロヴィッツ ナイフをひねれば

探偵ホーソーンとの契約終了を告げた作家のホロヴィッツ。その翌週、ホロヴィッツが脚本を手がけた戯曲の公演が始まる。しかし初日の夜、酷評が公開され、舞台に関わった面々は意気消沈する。ところが翌朝、その劇評家が殺害された。凶器はわたしに送られた短剣。数々の証拠が重なるなか、救えるのは彼しかいない……。

早々に登場する死体。逃亡と調査のサスペンス。そして暴かれる意外な犯人。素朴すぎるという評価もあるけど、シンプルな本格ミステリーに心が満たされる。一つ一つのエピソードが真相に繋がっていく心地よさは格別である。ランキング総なめから落ちたからといって、ホロヴィッツのクオリティが下がるわけではない。次回作はもちろん読むし、1位の作家を読む機会にもなるのでなお嬉しい。

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朝宮運河編 てのひら怪談 見てはいけない

怪談好き10名の書き手による、こわーいお話し50連発。

私が読んでから子どもが読む怪談シリーズ。今回の有名ゲストは平山夢明田辺青蛙たち。とてもシンプルで見本のような叙述トリックが収録されていて、我が子が生まれて初めて触れる叙述トリックかもと思うと嬉しい。小学生向けホラーでしっかり読めるシリーズは継続をぜひ期待したい。

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鷲羽大介 暗獄怪談 憑かれた話

結婚相手の両親から見せられた1枚の写真。幼少のころに家で見えていた誰か。ナビで誘導誘導された先に……。暗闇に残された数々の怪談を収録。

瞬殺怪談に参加する書き手から読んでみた。その人が着ている服は、夫婦で捨てたものだと思い出す「断捨離」。遅刻魔の後輩が吐き出す「咳き込んだ彼女」。クローゼットに男もののスーツが現れる「サイズ展開」。キャンプ地で異なるものに出会うエピソードは沢山あれど、「山の声」が異質すぎる。

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