近藤二郎 ものの始まり50話 文明の源をさぐる

エジプト・ユーフラテスを中心とした古代オリエント地域。ここで生まれた様々な技術や嗜好品は、私たちの日常まで繋がっている。高校の授業で「パンはエジプトで生まれた」と話したら、先生に「ヨーロッパだろ」と否定されたのを思い出した。パンもワインもビールも、ここでしたよ! 飲食・嗜好品を含む生活用品から、測るための道具やインフラとなったもの。豊かになるとゲームやペットという余裕も生まれる。大きな川をたどり、溢れ出る源泉に手を浸すような感動が本書にはある。

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白蔵盈太 実は、拙者は。

雑誌「江戸楽」にて、時代小説や歴史ものを紹介する書評欄がある。本書は様々な伏線が一つに回収される! とあったので読んでみた。深川佐賀町に住む八五郎は冴えない日々を送っているが、ある夜、噂の幽霊剣士「鳴かせの一柳斎」に出くわす。もしかすると一柳斎は隣に住まう雲井源次郎? と気づけば、登場する面々に裏の顔があり、関係者かつ事件の大筋を作っていく。まさにタイトル通り。コメディ調かつ斬り合いは迫力あり、仲間たちの心温かさにホッとさせられる。始終気持ちのいい物語だった。

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金子玲介 死んだ山田と教室

夏休みに死んだ山田が、教室のスピーカーに転生した! 声だけが残された山田と、2年E組の面々の試行錯誤が始まる……。男子高校生らしいバカさ加減と、自由さが実に青春小説。事故死の真相は少しだけミステリー。山田のために挑戦したりいたずらしたり、力の抜けたくだらなさが始終を占める。新聞書評欄で取り上げられていたので読んでみたが、面白さのピントが合わない1冊だった。

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