上坂あゆ美 岡本真帆 歌集副読本『老人ホームで死ぬほどモテたい』と『水上バス浅草行き』を読む

2022年に刊行された2冊の歌集、『老人ホームで死ぬほどモテたい』と『水上バス浅草行き』の副読本。それぞれの歌集を読んで評する。歌の流れや環境を説明してもらうことで、ぼんやりと読んでいた歌集の解像度が上がっていく。プライベートな交流も交えて紹介し合う空気感がいい。短歌も面白いが、解説本が好きなのでもっと企画してほしい。

那須正幹 前川かずお ズッコケ時間漂流記

ハチベエ・ハカセ・モーちゃんの3人組による痛快劇第6弾。時代劇のロケにでも参加するのかと思いきや、本当に江戸時代にタイムスリップしてミーツ平賀源内。なんでもありと呆れてしまう作風ではあるけど、子どもの感想を聞いてみたい。ほんのりと切なさが残るラストがマル。

ジェラルディン・ブルックス 古書の来歴

ユダヤ教で使われる書「サラエボ・ハガダー」。紛争で行方不明になっていた書が見つかり、古書鑑定家のハンナがサラエボに向かった。羊皮紙に残された蝶の羽の破片。ワインの染み。動物の毛。1つひとつから500年に及ぶ人々の姿が浮かび上がる……。

我が身を捧げる信仰と、差別の宿命と不条理な戦争。それぞれの時代を懸命に生き、「サラエボ・ハガダー」を残さねばと誓った人々を書いた群像劇。複数世代に渡る圧倒的な大河感に満足。現代パートの主人公、古書鑑定家のハンナは調査が進む面白さと、母との軋轢、自身の出生を深掘りする姿も読ませる。600ページ近い創元推理文庫のボリュームに疲れたけど、読み止められない面白さが始終あった。

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