ユダヤ教で使われる書「サラエボ・ハガダー」。紛争で行方不明になっていた書が見つかり、古書鑑定家のハンナがサラエボに向かった。羊皮紙に残された蝶の羽の破片。ワインの染み。動物の毛。1つひとつから500年に及ぶ人々の姿が浮かび上がる……。
我が身を捧げる信仰と、差別の宿命と不条理な戦争。それぞれの時代を懸命に生き、「サラエボ・ハガダー」を残さねばと誓った人々を書いた群像劇。複数世代に渡る圧倒的な大河感に満足。現代パートの主人公、古書鑑定家のハンナは調査が進む面白さと、母との軋轢、自身の出生を深掘りする姿も読ませる。600ページ近い創元推理文庫のボリュームに疲れたけど、読み止められない面白さが始終あった。
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