中山市朗 怪談狩り まだらの坂

新耳袋」の著者・中山市朗が蒐集した実話怪談シリーズ第9弾。

「工事現場」から掘り出された白い狐。そっくりな自分が近くに存在する「瓜二つ」。夕方の4時に玄関がガチャリと開く「歩く音」。葬儀会社を舞台にした「スズキユウイチ」が印象に残る。

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雨穴 変な家2 11の間取り図

1作目に続き図面で読み解くサスペンス。ありふれた家族が住む一軒家から始まり、森のなかの水車小屋、ヤクザが監視するアパート、新興宗教団体の本部へ。小さな狂気の源泉に触れるうち、大河に飲み込まれていく緊張感は恐怖とも快感とも。この手法はもうお腹いっぱいだけど、電子書籍のセールで読んでしまう。

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宮部みゆき 他 堕ちる 最恐の書き下ろしアンソロジー

角川ホラー文庫30周年を記念して刊行されたアンソロジー。全3巻の予定で、ベテランから新人まで読める。ベテランの風格を見せつける宮部みゆきの青春ホラー。新名智はファンタジーRPGに秘められたメッセージを読み解かせる。芦花公園、内藤了、三津田信三もよかったが、最後に掲載された小池真理子の存在感が圧倒的。鄙びた避暑地のリゾート・マンションを舞台に、寂しさに満たされた構成に唸る。古びたタイトル「オンリー・ユー かけがえのないあなた」が沁みる。

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