2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

伊吹亜門 幻月と探偵

関東軍が支配する満州。哈爾浜(ハルピン)にある旧陸軍中将の屋敷で、毒殺事件が起こった。岸信介から依頼を受け、厳寒の世界で調査を進めるが関係者の口は硬かった。屋敷に届いた脅迫状に書かれた「三つの太陽」の真相とは……。 デビュー作の幕末から、今作…

朝里樹 21世紀日本怪異ガイド100

コトリバコ、異界駅、八尺様……。2000年以降に語られるようになった怪異を精選。 「ネット 怪異 まとめ」で検索すれば全て読めるじゃないか……と思うか、なるほど現代怪異はネットに場所を移したのか……と思うか。それはあなたしだい……。『日本現代怪異事典』か…

我妻俊樹 奇々耳草紙 死怨

奇怪、異様、不可思議な話しに聞き耳をたてていると、いつか自分も体験することになる……。実話怪談61話を収録。 「忌印恐怖譚」シリーズから「奇々耳草紙」シリーズへ。語り口、ほどよく短い1話のボリューム感、そしてじわっとくる余韻。1話の総合力が高くて…

中山市朗 怪談狩り あの子はだあれ?

「新耳袋」の著者・中山市朗が蒐集した実話怪談シリーズ第6弾。子どものころに出会ったあの子。変わらぬ姿で前に立っているが、これは怪異なのか。それとも……。 複数作家の『瞬殺怪談』、距離感の近い黒木あるじ『無惨百物語』、語り口が絶妙な我妻俊樹『忌…

三津田信三 どこの家にも怖いものはいる

作家の三津田信三は、怪談好きという編集者・三間坂と出会い意気投合する。彼の実家から出てきた「家」にまつわる奇妙な話しで盛り上がる。親戚から預かった日記には、少なからず共通点があった。もしこの怪談が繋がっているとすれば……。 ここ最近読んだ現代…

石原陽一郎 長岡正哲 石川かおり 茅和伊 アフガニスタンの未来をささえる 国際機関職員の仕事

世界銀行、国際移住機関、国連人口基金、ユネスコ。アフガニスタンの国際機関で働く4人の日本人が、それぞれの視点から援助の実情と未来への道のりを語る。 アフタガニスタンのニュースを見ながら、こんなに困難な国になったのか理解したくて読んでみた。歴…

アルネ・ダール 時計仕掛けの歪んだ罠

15歳の少女が監禁されているとの通報を頼りに突入するも、現場はもぬけの殻。連続失踪事件として追うベリエルは、上司と衝突しながら説明しきれずにいた。残されたメッセージが、彼に宛てたものだったからだ。現場に必ずいる不審な女性に気づき、一気に駒を…

吉村文政 戦争の時代の子どもたち 世田国民学校五年智組の学級日誌より

大東亜戦争が進む中、言葉と絵で学級日誌を書いた子どもたちがいた。多くない勉強の機会、農作業で採れた野菜や、先生がかけてくれた言葉。そして疎開してくる同年代の子どもたちや、学徒動員で旅たつ年上の人たち。 8月の終戦記念日に合わせて読んでみた。…

青木理 誘蛾灯 二つの連続不審死事件

鳥取の場末のスナック。人気のない店に小柄で肥満、特徴のない容姿のホステスがいた。上田美由紀、35歳。彼女の周りでは少なくとも6人の男がいた。どうして男たちは彼女に騙され、支配され、搾取され、死んでしまったのか。関係者を取材するうちに、見えてき…