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森博嗣 読書の価値

本書は読書のハウトゥも教えてくれるが、森博嗣が辿ってきた「読書経験の記録」が貴重なエッセイになっている。幼少期から思春期を通しての具体的な記述が多く、森博嗣の多くを読んできたつもりだけど初めて知る内容も多かった。「面白い本に出会う」のは自…

鈴木棒 実話怪談 蜃気楼

山の怪談を得意とする著者による、実力が発揮される「鹿の葬式」「夢ヶ岳」などを収録。同時に、記憶に残す力は現代都市怪談でも十分。修学旅行の京都で飛び降り自殺を見てしまう「ある夜のこと」がしっとり怖い。北関東の山道で見かけた「奥の院」は、拭え…

宮澤伊織 裏世界ピクニック9 第四種たちの夏休み

オカルト溢れる世界を旅するシリーズも9作目。一貫して都市伝説と現代怪談の愛を書きながら、それぞれの性を模索してきた紙越空魚と仁科鳥子。1つのクライマックスに至った満足感もありつつ、そのあとの心境を瑞々しく書いていて可愛い。散々巻きこんでお世…

伏尾美紀 数学の女王

新札幌に新設されたばかりの北日本科学大学で爆破事件が発生。博士号を持つノンキャリ警察官、沢村依理子は異動したばかりの警務部から、警務部付捜査一課となる。この人事は報復か期待か。監察官室の監視を感じながら、テロ事件をめぐって公安との駆け引き…

黒木あるじ 怪談四十九夜 荼毘

いつも立ち寄るコンビニで。喫茶店で隣のテーブルから聞こえた会話が。ふと手にしたフリーペーパーに書かれていた言葉に……。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。現代実話怪談の作家たちによる49話。 怪談四十九夜のシリーズ5作目。…

黒木あるじ 怪談四十九夜 鎮魂

新しいアルバイト先に来たお客さんが。学校の先生の一言が。旅先で見たテレビ番組に映ったあれは……。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。現代実話怪談の作家たちによる49話。 祖父宅で食卓に出た「赤いゼリー」(真白圭)。工作で作…

高野秀行 【カラー版】ミャンマーの柳生一族

探検部の先輩、舩戸与一に誘われた取材旅行先はミャンマーだった。監視役の案内人たちから見えてきたのは、ミャンマーの軍事政権は武家社会? 幕府が送り込んだ柳生一族と南蛮人の死闘が始まる……。 近著が話題になっていたのでハイハイとんでも伝奇と思って…

鈴木棒 実話怪談 花筐

公募実話怪談大会「怪談マンスリーコンテスト」で注目を浴びた現代怪談の聞き手、鈴木棒のデビュー作。集めた奇妙な体験談37話を収録。 自費電子出版をした「エニグマを集めて」がよかったので、デビュー作から読んでみた。廃墟マンションに残された仏壇で見…

中山市朗 怪談狩り 葬儀猫

「新耳袋」の著者・中山市朗が蒐集した実話怪談シリーズ第9弾。八甲田山にまつわる怪異の数々。それは土地を越え、話者にもおよぶ……。 角川ホラー文庫で唯一読んでいる実話怪談集。「山の集団」「神隠し」が山ネタだけでない奇妙な共通点があり、じわりと寒…

23年度読んでよかった本

2006年から続けている「今年読んでよかった本」。ストレスがあるなら衝突すれば解決するじゃない? という恐ろしい1年でした。皆んなよくがんばったよ。2024年は少しでも落ち着いてくれれば。この1年での読書記録は85冊以上。ふり返ると印象に残った作品が多…

黒木あるじ ほか 投稿 瞬殺怪談

怪談の名手によって紡がれる、一瞬で読める実話怪談アンソロジー。作家8名と応募作から厳選した29名による全147話を収録。 実話怪談シリーズの中でもっとも好きな「瞬殺怪談」。書き手それぞれ魅力的で、シリーズ1の出来かも。中でも田辺青蛙の呪物ネタが強…

鷲羽大介 暗獄怪談 憑かれた話

結婚相手の両親から見せられた1枚の写真。幼少のころに家で見えていた誰か。ナビで誘導誘導された先に……。暗闇に残された数々の怪談を収録。 瞬殺怪談に参加する書き手から読んでみた。その人が着ている服は、夫婦で捨てたものだと思い出す「断捨離」。遅刻…

黒木あるじ 監修 怪談四十九夜 怖気

新しいアルバイト先で。事務所から見えるいつもの風景が。大量に出てきた釣り銭の1枚に。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。現代実話怪談の作家たちによる49話。 家の裏手に人が迷い込む、小田イ輔「最後の望み」。難しい店舗に鬼…

加藤一 「超」怖い話 Λ(ラムダ)

1991年から始まりシリーズ22巻、1000話以上集めてきた。これほどまでに多くの読者を得たのは、「超」怖い話がすべて実話だからではあるまいか。 夫婦が購入しようとした家に付いていた「恵比寿瓦」。実家に頻繁にかかってくる「たすけてください」を連呼する…

鈴木捧 現代奇譚集 エニグマをひらいて

現代怪談の著者が聴き集めた奇妙な体験談。全5章41話を収録。出版が叶わなかったものの、著者による自費電子出版として作成された。 Twitter(現X)にて紹介されていたので読んでみた。平日の友人宅にいた男性は父親ではなかった? 1人旅で部屋に戻ると、窓…

怪談最恐戦実行委員会 怪談最恐戦2022

賞金100万円。五代目怪談最恐位を決めるコンテスト「怪談最恐戦」。様々なジャンルから参加した怪談の語り手の記録。 年10冊ほど実話怪談を読んでいると好みが偏っていくため、開拓のために手を伸ばした。バンドマンの逸話「知りたい? 知りたい?」や、恋愛…

平山夢明ほか 瞬殺怪談 呪飢

平山夢明や黒木あるじ、我妻俊樹など実話怪談の名手による150話を収録。 現代怪談アンソロジーの傑作シリーズ第10弾。ここから現代怪談に触れるもよし、新しい作家に出会うもよし。トイレで聞こえる「足音」。高校の文化祭でお化け屋敷に力を入れた「リアル…

黒木あるじ 黒木魔奇録 魔女島

帰宅したばかりの暗い玄関先で。営業先へ急いで向かったあの道。旅先の電車で拾った落とし物。不意に声をかけられて振りむいた先に。あの時の出来事は、誰かに語れば断ち切れるのか。 解体現場の天井絵に魅了される「天女」、授業で見たモナリザは違ったので…

久田樹生 「超」怖い話 怪仏

怪異との遭遇は事故にあうようなものなのかもしれない。突然、防ぎようのない恐怖に出会ったあと、人はどのような言葉で語るのか。取材による実話怪談を収録。 仏像彫刻教室で教わる「決まり事」。優秀な先輩から引き継いだ営業先の家庭にまつわる「なく」。…

黒木あるじ編 怪談四十九夜 鬼気

隣部屋へのドアの隙間に。降りてくるエレベーターの中に。帰り道にふと見上げた家の窓に。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。現代実話怪談の作家たちによる49話。 拾いものから負の連鎖が続く葛西俊和「筆箱」。トンネルものの恐怖…

我妻俊樹 奇談百物語 蠢記

奇怪、異様、不可思議な話しに聞き耳をたてていると、いつか自分も体験することになる……。実話怪談101話を収録。 急展開に驚かされる「小鳥の置物」と、1歩ずつ恐怖が忍び寄る「スマイル」が最悪なので読んでほしい。会社にいる「神主のような人」。深夜にや…

黒木あるじ FKB怪談実話 屍

友だちから聞いた噂。濡れたままのマンションの通路。運転中に見えた奇妙な景色。あの時の違和感は、何かが始まっていたのかもしれない。気づかないふりをしていただけで。 怪談実話シリーズ第6弾。葬式を舞台にした怪談が好きで、親の代理で出席した会場に…

宮澤伊織 裏世界ピクニック8 共犯者の終り

裏世界で冴月との因縁を終えた今、空魚と鳥子2人は向き合わねばならない感情があった。なぜ裏世界に惹かれるのか。どうして彼女に惹かれるのか。 物語と恋愛の同時決着といえば『フルメタル・パニック!』が印象強く残っている。大筋とキャラクターの感情を…

久田樹生 「超」怖い話 死人

怪異との遭遇は事故にあうようなものかもしれない。ある日突然、防ぎようのない恐怖に出会ったとき、人はどう判じるのか。取材による実話怪談28編を収録。 元ヤクザが飲食店を経営した末の「精算」。いじめられっ子の幽霊が現れる「価値なし」。スナックのマ…

黒木あるじ 黒木魔奇録 狐憑き

夜中にかかってきた番号不明の電話。クリックしたアクセス先。いつもと違う帰り道。あの時の出来事は、誰かに語れば断ち切れるのか。 人がいないから、家にいる時間が長いから気づく怪異がある。震災に続き、コロナ禍での実話怪談も収集する。病院怪談はいく…

中山市朗 怪談狩り 山の足音

「新耳袋」の著者・中山市朗が蒐集した実話怪談シリーズ第8弾。吉野の山奥で古民家を改修して始まる異常な怪異。明らかな敵意に足が立ちすくむ……。 角川ホラー文庫で唯一読んでいる実話怪談集。「ずれた世界」が典型的なモダンホラーながら圧倒的に怖い。泣…

22年度読んでよかった本

2006年から続けている今年読んでよかった本。本厄のためしんどいイベントもたくさんありましたが、2023年は風向きを変えたいところ。この1年での読書記録は100冊弱。その中で印象に残ったものをボリュームある作品から紹介。 水上勉「飢餓海峡」は、義実家で…

平山夢明ほか 瞬殺怪談 鬼幽

平山夢明や黒木あるじ、我妻俊樹など実話怪談の名手による149話を収録。 現代怪談アンソロジーの傑作シリーズ第9弾。ここから現代怪談に触れるもよし、新しい作家に出会うもよし。意図せず誰かを傷つけてしまう「いらない才能」や、さらっと書いているわりに…

黒木あるじ 黒木魔奇録

親戚からかかってきた電話。SNSで気になったアクセス先。仕事先で訪れたマンションの一室。あの時の出来事は、誰かに語れば断ち切れるのか。 緊縛師が依頼先で出会った夫婦を語る「鞣」が印象的。フリマアプリにまつわる「出品」は、場所にまつわらない襲撃…

黒史郎 異界怪談 暗渠

異界怪談シリーズより「闇憑」がよかったので、本書も読んでいたはず。というのは、収録作「からから人形」の怖さに既視感はあるけど、他はあやふやな記憶しかない。元ヤクザが人生の精算を語る怪談があったはずなんだけど……。 異界怪談 暗渠 (竹書房文庫) …