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2006年から続けている「今年読んでよかった本」。くたくたになったけど楽しく充実した1年でした。皆んなよくがんばった! とはいえ2025年は優しく明るい話題で満たしたいです。この1年の読書記録は100冊以上。ティアキンに時間を費やしながらよく読みました…
中学校の倉庫から音がする「じんこく」。どこかで撮られた風景写真を探す「Pのクラス」など、新鋭現代怪談作家15名による60編を収録。文通と古井戸を通してのコミュニケーションを書く「古井戸フレンド」が強烈。ぜひ読んでほしいのは「死面の報復」で、まさ…
田舎の洞窟に封印された化け物の首をめぐる表題作。体育館に響く奇妙な音を探っていく「学校は死の匂い」では、第72回推理作家協会賞短編部門で受賞。他「悲鳴」「ファインダーの向こうに」なども、どれもが面白くて怖い短編集。澤村伊智の書く恐怖は、急に…
「新耳袋」の著者・中山市朗が蒐集した実話怪談シリーズ第9弾。 「工事現場」から掘り出された白い狐。そっくりな自分が近くに存在する「瓜二つ」。夕方の4時に玄関がガチャリと開く「歩く音」。葬儀会社を舞台にした「スズキユウイチ」が印象に残る。 怪談…
1作目に続き図面で読み解くサスペンス。ありふれた家族が住む一軒家から始まり、森のなかの水車小屋、ヤクザが監視するアパート、新興宗教団体の本部へ。小さな狂気の源泉に触れるうち、大河に飲み込まれていく緊張感は恐怖とも快感とも。この手法はもうお腹…
6つの連作怪談を収録。とある怪談経験者を複数話で紡ぐ、花柄のスカートを履いた女が現れる「シンパシー」、一族の宿命に巻き込まれる「剔抉」。中でも、1枚の写真が発端となる「隠」が飛び抜けて怖い。2人の友情が壊れていく緊張感は、怪談・モキュメンタリ…
「ぼぎわんが、来る」に続く比嘉姉妹シリーズ第2弾。オカルト雑誌で働く青年が受け取った、とある原稿を起点に死が連鎖していく……。迫りくる正体不明の何かと戦うバトルは前作と変わらず。「リング」式をベースにバトルまで持っていくモチベーションは尊敬す…
Youtubeの映画予告を見て、心地よくボコボコにされる小説だったなと思い返して再読。“ぼぎわん”を呼んでしまう男が家族を守るため、霊媒師・比嘉真琴とフリーライターに救いを求める。初読は比嘉姉妹のキテレツさが理解できなかったけど、映像化のおかげで怖…
応募作と怪談作家5名による145話。祖父との思い出を書いたCOCO「影」、インドネシア人女性によるムーンハイツ「小包」がほどほどに怖い。観光地で若き母に出会う、緒音百「気ままな母」が忘れられない1話。 投稿 瞬殺怪談 怨速 (竹書房怪談文庫) 作者:黒木あ…
何年ぶりの再読だろう。殺人のうえ失踪した夫と、残された母子の揺れを書いた「虚空の黙祷者」がシンプルな現代サスペンスとして上質だった。初読から約25年、ずっと好きな「何をするためにきたのか」と「キシマ先生の静かな生活」。夫婦生活がわかるように…
本書は読書のハウトゥも教えてくれるが、森博嗣が辿ってきた「読書経験の記録」が貴重なエッセイになっている。幼少期から思春期を通しての具体的な記述が多く、森博嗣の多くを読んできたつもりだけど初めて知る内容も多かった。「面白い本に出会う」のは自…
山の怪談を得意とする著者による、実力が発揮される「鹿の葬式」「夢ヶ岳」などを収録。同時に、記憶に残す力は現代都市怪談でも十分。修学旅行の京都で飛び降り自殺を見てしまう「ある夜のこと」がしっとり怖い。北関東の山道で見かけた「奥の院」は、拭え…
オカルト溢れる世界を旅するシリーズも9作目。一貫して都市伝説と現代怪談の愛を書きながら、それぞれの性を模索してきた紙越空魚と仁科鳥子。1つのクライマックスに至った満足感もありつつ、そのあとの心境を瑞々しく書いていて可愛い。散々巻きこんでお世…
新札幌に新設されたばかりの北日本科学大学で爆破事件が発生。博士号を持つノンキャリ警察官、沢村依理子は異動したばかりの警務部から、警務部付捜査一課となる。この人事は報復か期待か。監察官室の監視を感じながら、テロ事件をめぐって公安との駆け引き…
いつも立ち寄るコンビニで。喫茶店で隣のテーブルから聞こえた会話が。ふと手にしたフリーペーパーに書かれていた言葉に……。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。現代実話怪談の作家たちによる49話。 怪談四十九夜のシリーズ5作目。…
新しいアルバイト先に来たお客さんが。学校の先生の一言が。旅先で見たテレビ番組に映ったあれは……。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。現代実話怪談の作家たちによる49話。 祖父宅で食卓に出た「赤いゼリー」(真白圭)。工作で作…
探検部の先輩、舩戸与一に誘われた取材旅行先はミャンマーだった。監視役の案内人たちから見えてきたのは、ミャンマーの軍事政権は武家社会? 幕府が送り込んだ柳生一族と南蛮人の死闘が始まる……。 近著が話題になっていたのでハイハイとんでも伝奇と思って…
公募実話怪談大会「怪談マンスリーコンテスト」で注目を浴びた現代怪談の聞き手、鈴木棒のデビュー作。集めた奇妙な体験談37話を収録。 自費電子出版をした「エニグマを集めて」がよかったので、デビュー作から読んでみた。廃墟マンションに残された仏壇で見…
「新耳袋」の著者・中山市朗が蒐集した実話怪談シリーズ第9弾。八甲田山にまつわる怪異の数々。それは土地を越え、話者にもおよぶ……。 角川ホラー文庫で唯一読んでいる実話怪談集。「山の集団」「神隠し」が山ネタだけでない奇妙な共通点があり、じわりと寒…
2006年から続けている「今年読んでよかった本」。ストレスがあるなら衝突すれば解決するじゃない? という恐ろしい1年でした。皆んなよくがんばったよ。2024年は少しでも落ち着いてくれれば。この1年での読書記録は85冊以上。ふり返ると印象に残った作品が多…
怪談の名手によって紡がれる、一瞬で読める実話怪談アンソロジー。作家8名と応募作から厳選した29名による全147話を収録。 実話怪談シリーズの中でもっとも好きな「瞬殺怪談」。書き手それぞれ魅力的で、シリーズ1の出来かも。中でも田辺青蛙の呪物ネタが強…
結婚相手の両親から見せられた1枚の写真。幼少のころに家で見えていた誰か。ナビで誘導誘導された先に……。暗闇に残された数々の怪談を収録。 瞬殺怪談に参加する書き手から読んでみた。その人が着ている服は、夫婦で捨てたものだと思い出す「断捨離」。遅刻…
新しいアルバイト先で。事務所から見えるいつもの風景が。大量に出てきた釣り銭の1枚に。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。現代実話怪談の作家たちによる49話。 家の裏手に人が迷い込む、小田イ輔「最後の望み」。難しい店舗に鬼…
1991年から始まりシリーズ22巻、1000話以上集めてきた。これほどまでに多くの読者を得たのは、「超」怖い話がすべて実話だからではあるまいか。 夫婦が購入しようとした家に付いていた「恵比寿瓦」。実家に頻繁にかかってくる「たすけてください」を連呼する…
現代怪談の著者が聴き集めた奇妙な体験談。全5章41話を収録。出版が叶わなかったものの、著者による自費電子出版として作成された。 Twitter(現X)にて紹介されていたので読んでみた。平日の友人宅にいた男性は父親ではなかった? 1人旅で部屋に戻ると、窓…
賞金100万円。五代目怪談最恐位を決めるコンテスト「怪談最恐戦」。様々なジャンルから参加した怪談の語り手の記録。 年10冊ほど実話怪談を読んでいると好みが偏っていくため、開拓のために手を伸ばした。バンドマンの逸話「知りたい? 知りたい?」や、恋愛…
平山夢明や黒木あるじ、我妻俊樹など実話怪談の名手による150話を収録。 現代怪談アンソロジーの傑作シリーズ第10弾。ここから現代怪談に触れるもよし、新しい作家に出会うもよし。トイレで聞こえる「足音」。高校の文化祭でお化け屋敷に力を入れた「リアル…
帰宅したばかりの暗い玄関先で。営業先へ急いで向かったあの道。旅先の電車で拾った落とし物。不意に声をかけられて振りむいた先に。あの時の出来事は、誰かに語れば断ち切れるのか。 解体現場の天井絵に魅了される「天女」、授業で見たモナリザは違ったので…
怪異との遭遇は事故にあうようなものなのかもしれない。突然、防ぎようのない恐怖に出会ったあと、人はどのような言葉で語るのか。取材による実話怪談を収録。 仏像彫刻教室で教わる「決まり事」。優秀な先輩から引き継いだ営業先の家庭にまつわる「なく」。…
隣部屋へのドアの隙間に。降りてくるエレベーターの中に。帰り道にふと見上げた家の窓に。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。現代実話怪談の作家たちによる49話。 拾いものから負の連鎖が続く葛西俊和「筆箱」。トンネルものの恐怖…