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澤村伊智 怪談小説という名の小説怪談

ホラーの名手・澤村伊智による珠玉の8編を収録。入った人は行方不明になるという噂の館に息子が通う「笛を吹く家」、閉ざされたデスゲームの結末に意外性が光る「うらみせんせい」など、バラエティに富みながらどれも高水準。なかでも一番好きなのは、再開発…

ジェフリー・ディーヴァー サプライズ・エンディングス 罠

海外では電子版のみで配信されていた短編4編を、日本限定で一冊にまとめた作品集。短編4編で1,600円という価格に、レジで早くもどんでん返しを食らった気分になったが、円安や版権事情を考えれば仕方ないのかもしれない。 リンカーン・ライム暗殺計画を阻止…

池上彰 知らないと恥をかく世界の大問題17 米・中・露、三極構造の時代

毎年恒例、世界情勢を俯瞰するには格好の一冊。新聞で目にする出来事やキーワードが丁寧に整理されており、ニュースを理解するための副読本として非常に役立つ。断片的だった知識がつながり、国際情勢の全体像を復習できる。相変わらず日本への言及は少なく…

井上雅彦 編 こわい話の時間です 六年一組の学級日誌

子ども向けの本格ホラー・アンソロジーが、全作書き下ろしで2冊刊行。恩田陸、黒木あるじ、我孫子武丸ら、実力派の書き手が名を連ねる。田中啓文「象の眠る山」と牧野修「爪に関するいやな話」は、追突事故に遭ったような衝撃の怖さ。大人だからこの恐怖を回…

那須正幹 前川かずお ズッコケ財宝調査隊

ハチベエ・ハカセ・モーちゃんの3人組による痛快劇第9弾。太平洋戦争中の秘密作戦から始まり、モーちゃんの故郷に隠された財宝を探すことになった3人組。ズッコケ三人組でインディ・ジョーンズを描いたら傑作が生まれた一冊。3人のドタバタあり、過去に縛ら…

野林厚志 編 公益財団法人味の素食の文化センター 現代“間食”考 狭間からみる人類の食 食の文化フォーラム

民俗学、文化人類学、心理学など様々な分野の研究者が「間食」をテーマに論じた、2023年度〈食の文化フォーラム〉の内容を書籍化。動物の食事行動の観察から始まる構成には思わず笑ってしまうが、そこから近代の食文化、さらには老後の食事まで話が広がり、…

マイディー ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん

ぎこちない親子関係を解消するため、息子は父に『ファイナルファンタジーXIV』をプレゼントする。そして、一緒に冒険しているキャラクターが自分であることを明かさないまま……。もともとはブログ連載として発表され、のちに書籍化、そして映画化までされた作…

朝井リョウ イン・ザ・メガチャーチ

後輩に勧められて読んでみた。「アイドルグループを推す」ことを巡る物語で、消費させようと画策する人、熱中するがゆえに消費される人、そしてアイドル自身に関わる人の視点によって物語は進む。僕は人にしても小説にしても、モノにしても、その背景にある…

神沼三平太 実話怪談 毒気草

神社で見つけた不思議な「懐中時計」。古墳のために手がつかない都下の「三千坪の土地」。祖父の家の前にある「飛び出し人形」(飛び出し坊や)にはなぜか孫の名前を付けていた。そして常に事故に巻き込まれていた……。ゾクリとも違う、?????となる怖さ…

島田荘司 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁 改訂完全版

『奇想、天を動かす』の感動をもう一度味わいたくて、〈吉敷竹史シリーズ〉 改訂完全版4ヵ月連続刊行に手を出す。マンションの浴室で見つかった死体は、乗れないはずの寝台特急に乗っていた。撮影もされ、シャッター速度1/60秒に潜んだ罠とは。電話を借り、…

谷川嘉浩 スマホ時代の哲学 なぜ不安や退屈をスマホで埋めてしまうのか 増補改訂版

スマホを片手に情報に多忙・多量な私たちは「寂しさ」「孤独」「孤立」とどう向き合うか。哲学に興味があるわけでもなく、全然理解できていないのにスイスイ読める不思議な文体だった。エヴァに見たプレッシャーを例に解説が進むと(今さらエヴァの)理解が…

荒木あかね ちぎれた鎖と光の切れ端

隕石落下で地球が滅亡する直前、教習所に通っていたらミステリーに転じる「此の世の果ての殺人」が良かったので2作目も読む。 仲間だけの孤島で第1発見者が連続して殺される第1部。その後日、本土の関係者にも連鎖していく第2部。ホロヴィッツは『死はすぐそ…

那須正幹 前川かずお こちらズッコケ探偵事務所

ハチベエ・ハカセ・モーちゃんの3人組による痛快劇第8弾。ブタのぬいぐるみを受けとってしまったがために、モーちゃんが誘拐されるはめに! 記憶を頼りに犯人をたどっていく過程はしっかりミステリー×冒険活劇。スパイ小説を彷彿とさせる導入から魅力的で、…

清水將裕 日本橋グループ 捕食 欲望をカネに変えるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」の闇

全国で女性をスカウトし風俗店に送り込むスカウト集団「ナチュラル」。謎多きリーダー「木山兄弟」や、彼らの組織構造に迫る。社会問題になりながらも、彼らの組織力は徹底した成果報酬制度と教育制度にある。警察の捜査に引っかからないため、トップダウン…

水野俊平 ハングルの世界 文字から韓国を知る

上司が「韓国は漢字を捨てた」と語り、ずっと疑っていた。文字を創造したことが確実にわかっている世界にも稀な文字「ハングル」の紹介から本書は始まる。もちろん漢字との訣別はあるのだけれども捨てたとは言い難い。ベトナムはアルファベット表記をベース…

黒木あるじ編 怪談四十九夜 地獄蝶

飲んで目覚めた電車で。亡くなった父の葬式までに。子どもが借りてきた本の1ページに。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。 頭痛が襲いかかる「赤骸骨、青骸骨」。夜、子どもだけが耳にする「お祭りの音が聞こえる」など、10名の怪…

寺嶌曜 キツネ狩り

交通事故によって片目を失明。しかしその目が見るのは3年前の出来事。限られた超能力×一家惨殺事件。全く見えてこない犯人像を地道に追う姿や、事件と物語の絡みあいがリーダビリティ高く一気に読める。犯人の動機や特殊性を書かざるを得ないのはわかるけど…

谷端昭夫 1日5分 茶の湯の歴史

子どもと過ごしながらも隙間に読める本をと手にしたはずが、要点がわかりやすくかつ1日2ページがどんどん繋がっていくので一気読み。入門書でもあるので、これから「THE 唐物」が中心だった東山文化や、江戸時代に町民文化を広げていく様子など読んでみたい…

エリーザ・ホーフェン 暗黒の瞬間

奇妙な事件、加害者、被害者に遭遇する弁護士エーファを主人公にしたドイツ・ミステリーが、シーラッハの名とともに紹介されていたので読んでみた。連れ子が死んでしまい罪を擦りつけられる「塩」。11人のうち、1名だけ確実に無罪ななか裁判が進む「強姦」。…

知念実希人 硝子の塔の殺人

著者が「狭義の本格ミステリーは本書だけ」と紹介したので読んでみた。雪深い森に立つガラスの塔。ミステリ・マニアの大富豪が面々を呼び集めた夜、毒殺されてしまう。続いて更なる遺体が……。島田荘司 → 綾辻行人 → に続く新本格館ものへのアンサーを熱く書…

林公代 宇宙にヒトは住めるのか

宇宙空間で生活をする。月に住む。火星にたどり着くために考え得る衣食住、人の健康とは。いつかは宇宙に行ってみたい。宇宙での生活はどんどん良くなるだろうと、本書を読めばわかる。それでも今、宇宙飛行士が何を食べ、どんな生活をするのか体験してみた…

上谷沙弥 アイドルで落ちこぼれだった私がプロレス界のセンターに立った話

新聞の読書欄で紹介されていたので読んでみた。アイドルを目指すも芽が出ず、テレビ企画からプロレス界に入門。同期がいなくなっても見つけた居場所で咲き、まさかのヒールレスラーに転向。スポットライトを浴びたい! その気持ちを原動力に、彼女自身を輝か…

逸木裕 祝祭の子

宗教団体のコミューンの奥で、特別な教育を受けた子どもたちがいた。組織解体後に隠れた生活を余儀なくされた彼らに、謎の襲撃者が襲いかかる。連作短編ミステリーが年間ベスト級によかったので読んでみた。 人民寺院×殺せんせー×ジェイソン・ボーンで一気読…

白石あづさ 逃げ続けたら世界一周していました

思想が違っても、信仰が違っても、刑務所に入っても……。日常から逃げ出して世界を旅すれば、“常識”に意味はなかったと気づかされる。私の価値観を広げてくれたのは、祖父との食事や旅行だった……。世界を旅しよう! な前向きなルポだけでなく、どうして旅にで…

那須正幹 前川かずお とびだせズッコケ事件記者

ハチベエ・ハカセ・モーちゃんの3人組による痛快劇第7弾。学級新聞を作成するため事件記者になった3人。それぞれの班のために街へと飛び出すが……。喫茶店に入ったり、工場へ聞き込みをしたり、大人との接点が多い物語だ。全然怯まず対等に話しをする姿や、…

野宮有 殺し屋の営業術

第71回江戸川乱歩賞受賞作。敏腕営業マン・鳥井が殺し屋の現場に出くわしたことから、営業力ゼロの彼らをサポートすることに。違う意味で狂った最強スペック・営業マシーンが参加する、殺し屋家業を巡るコンゲームもの。個性豊かな面々が揃っていく少年ジャ…

上坂あゆ美 岡本真帆 歌集副読本『老人ホームで死ぬほどモテたい』と『水上バス浅草行き』を読む

2022年に刊行された2冊の歌集、『老人ホームで死ぬほどモテたい』と『水上バス浅草行き』の副読本。それぞれの歌集を読んで評する。歌の流れや環境を説明してもらうことで、ぼんやりと読んでいた歌集の解像度が上がっていく。プライベートな交流も交えて紹…

那須正幹 前川かずお ズッコケ時間漂流記

ハチベエ・ハカセ・モーちゃんの3人組による痛快劇第6弾。時代劇のロケにでも参加するのかと思いきや、本当に江戸時代にタイムスリップしてミーツ平賀源内。なんでもありと呆れてしまう作風ではあるけど、子どもの感想を聞いてみたい。ほんのりと切なさが残…

ジェラルディン・ブルックス 古書の来歴

ユダヤ教で使われる書「サラエボ・ハガダー」。紛争で行方不明になっていた書が見つかり、古書鑑定家のハンナがサラエボに向かった。羊皮紙に残された蝶の羽の破片。ワインの染み。動物の毛。1つひとつから500年に及ぶ人々の姿が浮かび上がる……。 我が身を捧…

那須正幹 前川かずお ズッコケ心霊学入門

ハチベエ・ハカセ・モーちゃんの3人組による痛快劇第5弾。心霊写真を撮りたいハチベエは弟分の浩介を連れて噂の幽霊屋敷へ。そこではポルターガイスト現象が起きて、オカルト雑誌から科学者までを巻き込むことに。冒険・推理を経て子どもたちが答えを出す姿…