2010-01-01から1年間の記事一覧
生徒たちに慕われ、教師陣からも信用され、苦労しながらも充実を得ている青年教師。しかし彼に不思議な恐怖を抱く生徒たちがいた……。あの笑顔は本物なのか? 彼の言葉は真実なのか? 少年少女たちのそばで、その学校の中で、奇妙な事件が起き始めるが……。 「こ…
1985年、生き神スガル様を祀る山村で起こった、後継ぎの首切り殺人事件。その場に居合わせた学生・静馬は容疑をかけられるも、少女探偵・御陵みかげによって助けられる。本家に乗り込んだ彼らだったが、また事件は起こり……。 超ウルトラ古典的スタンダードな…
旅をする青年は、様々な事件に出会う。砂漠のキャラバンを襲う連続殺人、風車小屋での推理合戦、列聖のひと夜に起こった奇跡……。 こういうガッツリした本格ミステリが読みたかったんだ、僕は! 第五回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」に始まる…
麻薬に味をしめた暴君の父と、愛深く信仰厚かった母との間に生まれた、耳の聞こえないイヴ。彼女たちを救おうとした女フランに出会うも、彼女たちは不幸から逃れられない……。 ミステリー作家ボストン・テランが送る、力強さに溢れた小説。ミステリ小説ではな…
大森望が責任編集をする、日本人作家の書き下ろしSFコレクション・シリーズの第2弾。どんだけ多世界解釈好きなんだよ、どんだけ量子論なんだと(大の苦手)。そういった作品を読み飛ばしたのはともかく、津原泰水「五色の舟」の存在感が圧倒的。見世物小屋を…
1942年、当時17才だった祖父レフは、ナチス包囲下のソ連で卵の調達のために困惑していた。糞さえ何日も出ていないのに、食べ物なんて、ましてや卵なんて……。饒舌青年兵コーリャとの旅路を、孫であり作家でもあるデイヴィッドに語る、青春物語。 ○○の中の人が…
ごめんよ、アリス。僕は君を守れない。少女の写真を撮っていたルイス・キャロルが不思議な物語を語り始める表題作。テレビで一大人気を得た霊媒師は、ある少女の殺人現場での撮影を行うが……(「地獄はここに」)。宇宙船には、一人の青年が巧妙に隠れていた…
茹だるような暑い夜、僕と友人、その妻の3人はヤクザに監禁されていた。友人は2時間以内に金を用意すると出て行ったが、本当に戻ってくるのか。そして僕は彼女を守ることができるのか。日本推理作家協会賞短編部門を受賞した表題作を含む3編を収録。 めっち…
権力に潰された新聞記者の父。難民活動を追った幼馴染の自殺。誰もが欲しがり、口をつぐむ”Nファイル”。民間軍事企業のやり手・野際と、内戦負傷者たちのダンスチームに所属する美少女・リサが出会い、この世の真実が見え始める……。 超濃縮版『BLOOD LINK』…
2,3ページで終わる現代怪談集で、『新耳袋』に続く新しい百物語シリーズ。本が読めない波に乗った時や、疲れた時にサッと読めるので、大変重宝している1作だ。これ! といった強さはないが、1年毎の楽しみにしている。怪談とスーパーナチュラルの間にあるよ…
ボロボロの『リング』『らせん』がロンドンの古本屋で投げ売られていたので購入。12年ぶりの再読になるんだけど、高校時代の思い出が蘇えるのなんの。友人から借りて一気に読んで、また友人に貸して授業中に読んでいて……と、面白さに皆が魅せられていった。…
職に就いては逃げ出し、3人の人妻と駆け落ちし、逃亡と放浪をくり返した男・小池重明。しかし彼が将棋を捨てることはなかった。”新宿の殺し屋”と呼ばれ、賭け将棋時代終盤の伝説、数々のプロを倒した真剣師の短い生涯。 ロンドンの古本屋で投げ売られている…
シチュー、グラタン、スパゲッティ。犯人は被害者を殺害し、脳を取り出して調理後に食べていた。捜査上には一人の少女が浮かび上がるが、彼女にそんな残虐な行為が可能なのか……。 ロンドンの古本屋で発見し、割引きもあったので購入。脳を食うのも最高ですが…
そろそろ帰国だなと部屋の掃除をしていたら出てきて、持ってきた覚えもないだけに、少し気持ち悪い……。ともかく、刀城言耶の中編表題作ほか短編3本を収録した1冊。こういった遠い地で、コックリさんや迷家をテーマにしたミステリを読むっていうのもオツなも…
1874年の秋、監獄を訪問した私は、一人の霊媒師と出会う。不思議さと、その魅力に抗えない私。そして目の前に表れ始める霊の残滓。奇妙さが少しずつ、彼女の思いへと変わり……。 (世間が呼ぶ)読めていないかった名作を(投げられない今こそ)読んでしまおう…
『羊たちの沈黙』から7年。麻薬組織への逮捕劇から、マスコミと上層部によって窮地に落とされたクラリスだったが、彼女のもとに一通の手紙が届く。送り主はあの”ハンニバル”レクター博士だった……。 ロンドン三越地下の書店で下巻だけが安売りアホかー! と、…
アメリカの救命外科医・奈津川四郎に悲しい情報が届いた。彼の母親が、連続主婦殴打生き埋め事件の被害者に? 復讐を心に、帰郷した四郎を待っていたのは強烈な過去だった……。 パリのブックオフで2ユーロだったので、ガッツリ楽しめる作品をと再読用に購入。…
私立探偵リュウ・アーチャーへの依頼は、新婚早々に逃げだした妻を探し出すことだった。簡単にも本人を見つけたアーチャーだったが、彼女は血塗れの姿で立っていた……。 一度投げ出した上、こんな環境だったら読むしかないと英国入りをした『さむけ』だが、面…
希望を捨てた男トラヴィスは、森の中で不思議な犬と出会う。まるで知性を持っているような、それでいて何かに脅えているような……。その頭脳からアインシュタインと名付けた後、彼は奇妙な背景に巻き込まれていく。彼の生みの親とは、そして追ってくる影の正…
冬季に閉ざされるリゾート・ホテルの管理人職を得た作家、そして妻と5歳の子ども。まるで誰かがいるような、それは気のせいでしかないのに、でも囁きかけるような……。 有名なキューシブリックの映画版、スティーブン・キングのドラマ版を見ているにも関わら…
青葉ヶ丘中学3年A組……。決して荒れているわけではないが、担任教師は『沈黙の教室』と呼んだ。粛清の対象を名指しにする恐怖新聞が発行され、残酷ないじめが繰り広げられていた。そして20年後、同窓会の告知とともに、クラスに関わった誰かが大量殺人計画し…
浮浪者の老人が消費税12円を請求された末、店の主婦の腹を刺した。老人は黙秘を続けたまま、事件の幕は閉じようとしていた。しかし警視庁捜査一課の吉敷竹史は、老人の過去を追うことで、数十年前の奇妙な鉄道事件に出会う……。 多くの方から、島荘の中でも強…
嵐が迫る夜、精神病院を出発した死体運搬車から1人の男が起き上がった。彼の名は脱走者マイケル・ルーベック。その足取りはインディアン・リープ事件の被害者、不利な証言をしたリズへと向かっているのか。精神病院、警察、そして賞金狙い達の追跡が始まる………
Heinemann Guided ReadersのElementary Level(5段階の真ん中)より、メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』を。原作を読んだ上でのダイジェスト版とはいえ、ここまでスラスラいけるかと感じさせる出来。フランケンシュタインや怪物の苦痛を表す台詞の…
クリスティ生誕の地へ、アラブ人とイタリア人2人、そして僕は2度目の訪れ。やはりリゾート地だけあって、夏は気持ちがいい場所だ。
ある朝、家政婦が刑事ミカエル・ボクサーの死体を発見する。彼は嫌われ者で、妹と仲が悪いことでも有名だった。前日の晩、借金返済に困った妹が来ていたという目撃情報があり、彼女は逮捕される。法廷のみを舞台に、様々な証人が事件の全体像を露わにしてい…
友人からコンピュータ・プログラムのカセットを受け取った後、その友人が何者かに殺され、自分も狙われるはめに。競馬に関わる内容らしいが、その正体は……。ディック・フランシスの簡訳版”Twice Shy『配当』”を読む。長編に挑んだのは初めてで、ここで気づい…
英語で読んだコナン・ドイルの短編集は、ホームズより「青い紅玉」「白銀号事件(名馬シルヴァー・ブレイズ)」「六つのナポレオン」の3編を収録したもの。やっぱりPENGUIN READERS LEVEL3は読みやすい(僕のレベルではなく、文章がいいと思う)。ホームズ作…
家政婦のジニーが発見した、殺人者の告白日記。彼は幼年期に殺人の快楽に目覚め、また再びくり返そうとしていた。彼女は犯人の細かな手記から、奴はこの館に暮らす4人息子の1人に違いないと疑うのだが……。 新本格とメフィスト賞の間の期間、こういう作品あっ…
レベルが上がって1,000 Headwordsのエドガー・アラン・ポー、「アッシャー家の崩壊」「黒猫」「赤死病の仮面」「ウイリアム・ウイルソン」「告げ口心臓」を収録した短編集に挑戦。ポー初体験がリトールド版で、しかも凄くよかったなんて……。文章の読みやすさ…