ロス・マクドナルド さむけ

私立探偵リュウ・アーチャーへの依頼は、新婚早々に逃げだした妻を探し出すことだった。簡単にも本人を見つけたアーチャーだったが、彼女は血塗れの姿で立っていた……。
一度投げ出した上、こんな環境だったら読むしかないと英国入りをした『さむけ』だが、面白いのなんの手が止まらないのなんの。ハードボイルドが楽しめるようになったか……と感動した次第。事件は小さなことから起こり、しかし謎は巨大で、最後に待っているのは『さむけ』だ。原題”The Chill”より、Chilly（肌寒い、上着一枚が欲しい感じで）はよく使う言葉なんだけど、これが『さむけ』。絶妙。

さむけ (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-4)