2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

黒木あるじ編 怪談四十九夜 鬼気

隣部屋へのドアの隙間に。降りてくるエレベーターの中に。帰り道にふと見上げた家の窓に。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。現代実話怪談の作家たちによる49話。 拾いものから負の連鎖が続く葛西俊和「筆箱」。トンネルものの恐怖…

陳建一 父の仕事を継ぐ 自分の味をつくる

放浪の果て日本で四川料理を広め「中華の神様」と呼ばれた男、陳建民。その息子、建一はゴルフを楽しみ、持ち前の明るさと前向きな性格で頑張ってきた。しかし偉大な父に近づくほど、その壁の大きさに気づくのであった。中華の鉄人が語る「生きる幸せ」とは。…

泡坂妻夫 ダイヤル7をまわす時

生誕90年記念出版第1弾。船上で起きた殺人事件。死体はなぜトランプで装飾されていたのか?(「芍薬に孔雀」)切符コレクションを馬鹿にされた男は復讐を誓い、完全犯罪を目論む。(金津の切符)暴力団の組長が殺され、犯人は現場で電話を使用していた? 表…

吉田千亜 孤塁 双葉郡消防士たちの3・11

2011年3月11日に発生した東日本大震災。押し寄せる津波で街が混乱しても、福島県双葉郡の消防士たちは懸命の消防と救助を進めた。その中で聞こえてきた爆発音と、のちに知らされた原発事故。食料や水、ガソリンが限られる中で消防士たちは自らの生死を問うた…

フェルディナント・フォン・シーラッハ 珈琲と煙草

その1杯の珈琲が、その1本の煙草が、彼らを救ったのかもしれない。私も救われたのかもしれない。刑事専門弁護士から作家として活躍する著者のエッセイ。 傑作短編集『犯罪』『罪悪』『刑罰』のベースになったシーラッハのエッセンスで満ちた1冊。観察メモの…