吉田千亜 孤塁 双葉郡消防士たちの3・11

2011年3月11日に発生した東日本大震災。押し寄せる津波で街が混乱しても、福島県双葉郡の消防士たちは懸命の消防と救助を進めた。その中で聞こえてきた爆発音と、のちに知らされた原発事故。食料や水、ガソリンが限られる中で消防士たちは自らの生死を問うた。

福島県郡山市ジュンク堂が推薦していたので読んでみた。ここで出会わなければ手にはしていなかったと思う。120名超の消防士にインタビューを行い、震災直前から津波原発事故へと暗中模索の対応を追う。文庫化への追加として復興その後も書く。あの日、仕事から帰ってテレビの前で感じた無力感を思い出した。人によって生じる徒労感が色濃く書かれている。この行き場のなさとも怒りとも呼べるエネルギーをどう使えばいいのだ。