泡坂妻夫 ダイヤル7をまわす時

生誕90年記念出版第1弾。船上で起きた殺人事件。死体はなぜトランプで装飾されていたのか?(「芍薬に孔雀」)切符コレクションを馬鹿にされた男は復讐を誓い、完全犯罪を目論む。(金津の切符)暴力団の組長が殺され、犯人は現場で電話を使用していた? 表題作など7編を収録。

波乱万丈の人生を歩んだ男が語る「芍薬に孔雀」が至高の出来。貴重なトランプの登場から雰囲気が一転し、そのまま殺人事件に入るワクワク感。そのトランプを死体の装飾に使いながら、見事な推理が展開される。物語の境目の上手さはまさに泡坂妻夫。読者への挑戦状がついた「ダイヤル7」もいいけど、「可愛い動機」や「広重好み」が社会背景とマッチして楽しい。2月、5月、そして8月と続く生誕記念が楽しみ。