佐々涼子 エンド・オブ・ライフ

京都で在宅医療を取り組む医療従事者たちを取材し、患者の終末期と家族を寄り添うように見てきた著者。友人の看護師が末期がんになり、自身の最後へと向き合うときがきた。著者と難病の母、献身的に介護する父。終末医療の一角を記録する。

2020年本屋大賞ノンフィクション部門で大賞を受賞した、「命の閉じかた」を書いた教科書。患者たちを見る医療従事者と、幕を閉じていくことになる看護師、著者自身の家族の3つの要素を交えながら書く。まさに今、息絶えてもおかしくない女性が家族と潮干狩りに行くエピソードは、太陽の刺さるような痛さまで伝わってくるようだった。家族の愛が潮風と波の心地よさと混ざり合い、涙を止められなかった。