黒木あるじ編 怪談四十九夜 鬼気

隣部屋へのドアの隙間に。降りてくるエレベーターの中に。帰り道にふと見上げた家の窓に。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。現代実話怪談の作家たちによる49話。

拾いものから負の連鎖が続く葛西俊和「筆箱」。トンネルものの恐怖が終わらない富士玉女「ループ」。田辺青蛙「八幡のスーパーで」の3作が群を抜いて気持ち悪い。現代怪談アンソロジーは切れ味鋭い「瞬殺怪談」が好みだけどか、ずっしりと重さを感じさせる「怪談四十九夜」もなかなか。