大森望が責任編集をする、日本人作家の書き下ろしSFコレクション・シリーズの第2弾。どんだけ多世界解釈好きなんだよ、どんだけ量子論なんだと(大の苦手)。そういった作品を読み飛ばしたのはともかく、津原泰水「五色の舟」の存在感が圧倒的。見世物小屋を営む奇形一家が、全てを見通す”くだん”と出会う話。奇妙な依頼主が事務所に訪れてくる宮部みゆき「聖痕」は、1編そのものがまるでフルコースのよう。オードブルから始まる導入シーンの口当たりの良さといったら。曽根圭介や恩田陸も軽めで嬉しかった1作。田辺青蛙もキモ可愛い超短編集で、これから読んでみたい。