宮澤伊織 裏世界ピクニック9 第四種たちの夏休み

オカルト溢れる世界を旅するシリーズも9作目。一貫して都市伝説と現代怪談の愛を書きながら、それぞれの性を模索してきた紙越空魚と仁科鳥子。1つのクライマックスに至った満足感もありつつ、そのあとの心境を瑞々しく書いていて可愛い。散々巻きこんでお世話になった小桜への説明に戸惑う姿が愛おしい……(身近ではない創作の距離だからそう思うのだろうけど)。裏世界を解析するため、DS研とのプロジェクトも進む。このまま風呂敷を広げずに「私たちの冒険はまだまだ続く……」で終わり、風呂敷を広げずにいても嬉しかったかも。贅沢だとわかっているけど。