ドン・ウィンズロウ 仏陀の鏡への道

シリーズ再読。'77年のサンフランシスコ、返還前の香港、そして中国を舞台に、青年探偵ニール・ケアリーが放り込まれるシリーズ2作目。裏テーマでもある”成し得なかった歴史”が前作より格段にアップ(副大統領選へ出馬する議員の娘探し)。毛沢東の意思を継承し続ける偉大なる、広大な中国を選びだしたセンスは凄いし、事件から抉り出す社会情勢も柔じゃない。シリーズ最長にして、ニール最大のピンチが書かれる本作が、最終作にならなかったことは、あ、数年毎に進むシリーズ構成か。

仏陀の鏡への道 (創元推理文庫)

仏陀の鏡への道 (創元推理文庫)