21年度読んでよかった本

2006年から続けてきた今年読んでよかった本シリーズ。リビングで携帯を触らないようにして、新聞や雑誌、簡単な読みものを手にするようにして正解だった。おかげさまで久しぶりに100冊を超える記録になりました。

今年のベストでまず挙げたいのは本作。暴力への抗えない憧れと、飯をかきこむ姿の美味そうさといったら。怒涛の展開から結末に突入した瞬間、読書経験からの快感で絶頂を迎えてしまった。

夫婦で若い女性を監禁・殺害しながら調和を目指す家族の奇妙さ。始終楽観的な口調と、物語の緩急が絶妙すぎる。エピローグまで印象に残る海外ミステリーらしい作品。アリス・フィーニー「彼と彼女の衝撃の瞬間」と悩んだけど。

移動中の隙間時間に電子書籍で進め、今年は10冊以上読んでいた実話怪談。学園祭で怪談売買所を設置し、地域の人々が訪れる。語り口の変化に好き嫌いはあるが、地域や年代によって連鎖する恐怖を感じてほしい。養殖ではない天然ものの実話怪談。

コンスタントに読んできた岩波ジュニア新書からは2冊。

教科書的で驚きはないが、シンプル・イズ・ベストを体現する岩波ジュニア新書 の傑作。キリスト教が土地の宗教として誕生し、世界へと広がっていった様子を淡々と書く。面白おかしさを解体していく満足感って何なんでしょう。

アフタガニスタンのニュースを見ながら、一国がこうなる理由を知りたくて読んでみた。歴史的、地政学的な脅威に囲まれ、自然災害、紛争、汚職、貧困に、テロとの戦いが増した結果ボトムはさらに深まってしまった……。それでも救おうとする人たちがいて「アジアのスイス」になる日を願う。

以上、2021年の5冊でした。大晦日に子どもと銭天堂を見ながら書きました。夫婦喧嘩から仲直りしようと思ったきっかけも銭天堂だったな……。