逢坂冬馬 同志少女よ、敵を撃て

1942年、モスクワ近郊の村で狩りをして暮らしていた少女セラフィマは、ドイツ軍の襲撃で母を殺され、村を焼かれてしまう。辛うじて命を得た彼女は女性狙撃小隊に所属して復讐を誓う。厳しい訓練からスターリングラードの前線で見た風景とは……。

第11回アガサ・クリスティー賞大賞を受賞作。知人から本書の紹介を受け、久しぶりに冒険小説を読んでみた。過酷な運命を受け入れる修行編に始まり、地獄の中で実地経験を重ねて、明確な敵を撃つ!過去問で解いたことのある数学の問題に出会ったような感触。歴史と成長譚を公式にして展開すれば、綺麗な解が得られて驚いてしまう気持ちよさ。キャラクターもバランスが良すぎて、とても素直なエンターテイメントだと感じた次第。須賀しのぶ流血女神伝 帝国の娘』の導入を思い出したよ。