PRISCILLA プリシラ

オーストラリアのリゾート地でショーをすることになった3人のドラッグ・クイーン(女装をするゲイ)たち。ボロボロの買い取ったバス「プリシラ号」で旅に出るが、それはあまりにも遠く、あまりにも過酷だった。それぞれの胸の中に、夢と、希望と、大きな秘密を持って彼らは目的地へと向かう。1994年度のカンヌ国際映画祭上映で大絶賛されて観客賞を獲得。アカデミー賞では7部門にノミネートし、衣装デザイン賞を受賞した。

プリシラ [DVD]

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ザ・シンプソンズのクリスマス」を買おうとした際に“1枚買ったら1枚タダ!”キャンペーンという抱き合わせ商法だったので、一緒にいた知人に「好きなのを選んだら良いよ」と言ったら、これを渡されたのでついつい「わざと選らんだんか」と怒ったのですが「他に面白そうなのある?」と訊かれてもないんですよねえ。本当に参ったのですが、見てみるとすっごい面白かったのです。今までに見た映画の中で3本の指に入るぐらい好きだと思います。

ヒューゴ・ウィーヴィングの顔が途中まで誰だか分からなかったのですが(だって女装してるんだもの)「ロード・オブ・ザ・リング」のエルロンドに、「マトリックス」のスミスだということに気がついて愕然。大笑いも大笑い。役者も凄いが、メイクという仕事はもっと凄いものなんだなあと。カーッ、「マトリックス」を笑いなしには見れなくなりましたね。

140分程度の長さなんですが、もの凄くバランス良く作られた構成になっています。3人のゲイの苦悩や、恋に、希望。それを飽きさせることなく焦点を変え、最後には1つにまとまる形でスッキリと見せる。基本的にダンスシーンも懐かしの80年代ダンスミュージックが多く、誰が見ても楽しめますね。

基本はオカマのコメディなんだけど、ゲイに対する抵抗を描くなどして、それに立ち向かう彼らを見ていると元気が出るんですよね。とくにテレンス・スタンプ演ずるベルナデットの恋愛のしかたが本当に綺麗で、途中からどんどん女性に見えてくるんだけど、ショー用の姿になると苦笑いみたいな。

全編を通して、音楽のシーンは口パクです。女性が歌う恋愛歌を、彼らが肩を揺らしながら歌うシーンは凄い効果的。筋肉隆々なのに仕草は女性。心も女性。愛する人は男性。馬鹿にされるような派手な衣装をまといながら頑張る姿を見てもらいたいです。序盤で登場する歌詞が凄く良くて、少しだけ引用すると「パラダイスへは行ったけど、まだ本当の自分は見つからない」の部分です。ともかくテレンス・スタンプの熱演を楽しんでもらいたい。