乙一 暗いところで待ち合わせ

再読となる乙一『暗いところで待ち合わせ』。目の見えない女性と、その家に潜む男の物語。流れを作るために入れられた”セツナサ”に、どうしても違和感を感じてしまったんだけど、ヒッチコックのような緊迫感がブラス方向に働いて気持ちいい。ただ、見えないといった世界がスマートになりすぎた感はあって、雨の中の描写なんかが入っていれば、もっと凄まじい作品になったのではないでしょうか? なんて思いながら読めるのも再読だからでしょうね。乙一が持っている強烈な一読感は他では得がたい素晴らしさがあります。これを読むために時間を戻せるものなら、何時でもどうぞ神様! みたいな。

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)