ジェフリー・ディーヴァー クリスマス・プレゼント

リンカーン・ライムのシリーズで、長編での圧倒的な上手さを見せるディーヴァーだが、短編集もまた凄い。一読して驚き、再読してその手腕に唸る。出始めの「ジョナサンがいない」など人間の一日を書いた作品から、実にドラマティックな法廷もの「被包含犯罪」もある。完全犯罪、ストーカー、精神科医と様々なものを扱っているが、どれもその語りは軽く、素晴らしい本格ミステリに仕上がっている。全てを薦めてみたくなるが、「ビューティフル」「釣り日和」「ひざまずく兵士」が後味強く残るだろう。とくに最後に収録された「ひざまずく兵士」はフィニッシング・ストロークのような台詞に力がある。

クリスマス・プレゼント (文春文庫)

クリスマス・プレゼント (文春文庫)