デニス・ルヘイン コーパスへの道 現代短篇の名手たち1

ハヤカワ・ミステリから刊行が開始された短編集シリーズ<<現代短篇の名手たち>>第1弾。ガッチガチのミステリ傑作選などではないが、まるでミステリ版奇想コレクションを読んでいるようだったのは、ルヘインだからか(その意図は解説に詳しく書かれている)。読者の多くがルヘイン=長編のイメージもあるだろうけど、過去にミステリマガジンに掲載された短編を収録した1冊になっている。僕が薦めたいのは、野良犬を射殺する元兵士と、その友人を主人公に、暑いアメリカの田舎を書いた「犬を撃つ」。高校生活が終わろうとしているフットボール選手たちの衝動を書いた表題作「コーパスへの道」。自分は多少狂っていると自覚しているが、出会った奴はもっと狂っていて……、と恐怖によって冷静さを得る物語だ。この2編が読めたので、僕は文句なし。

現代短篇の名手たち1 コーパスへの道 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

現代短篇の名手たち1 コーパスへの道 (ハヤカワ・ミステリ文庫)