沼田まほかる ユリゴコロ

彼女を家族に紹介した、幸せだったあの日……。実家の押し入れから出てきた女性の髪の毛と、4冊のノート。そこに書かれていたのは、とある殺人鬼の告白だった。これは創作なのか、事実なのか。どうして父は隠すようにしまっていたのか、それとも……。
なんか母親でも読めてしまえる本を、母の日へと送った1冊。先に読んでしまってと言われて、手にしてみたけど……。読み始めれば止まらない軽さと面白さに、なんじゃこりゃと。奇妙な過去の出来事と、周囲にいてくれる人々の優しさの間で、主人公はどちらに転がっていくのか。このバランスが絶妙で、最後まで目が離せない。久しぶりに、全部読んでみたいと思える新しい作家だった。

ユリゴコロ

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