前野ウルド浩太郎 バッタを倒しにアフリカへ

現地で使用するフランス語もわからず、空港ではセキュリティーにビールを取り上げられ、バッタ研究者はアフリカ大国の一国モーリタニアにたどり着いた。数年に一度大発生するサバクトビバッタのフィールドワークのため、運転手に給料を払い、キャンプ地でヤギを食べ、撮影中にサソリに刺されながら研究を進める。純粋な好奇心と生きていくための冒険ノンフィクション。

ニュースでサバクトビバッタのことを放映していたので読んでみた。珍道中を面白おかしく書いたエッセイ風で、爽快なブログを読んでいるようだった。裸でアフリカの大地に立つような大胆な印象だが、日本で研究者として生きていく難しさが要所から滲みでてくる。社会性、異国情報、生命、足るを知る哲学など、複合的な面白さは2018年新書大賞を受賞したのも納得。

病気もそうだけど、ヒトはいつまでバッタと戦うんだ。