詠坂雄二 ドゥルシネーアの休日

東京タワー付近で見つかった死体は、以前に起こった連続殺人事件の模倣なのか? ミッション系全寮制女子校で、罪を償うために1人で祈り続ける少女。伝説となった探偵の汚れを拭ってきた無愛想な助手。どうして全ての事柄は繋がってしまうのか。
好きでも嫌いでもないけど、淡々と読み進めている詠坂雄二。事件パート・百合パート・アクションパートで構成されて、何故かクライマックスを迎えるという……。結末は僕好みじゃないけど、全寮制百合パートが素晴らしかった。

ドゥルシネーアの休日 (光文社文庫)

ドゥルシネーアの休日 (光文社文庫)

倉狩聡 いぬの日

わたしの名前はヒメ。家族はわたしのことを犬という。でも犬ってなに? 家族から虐げられたペットのヒメは、流星群の夜に光る石を食べて、犬以上の知性を持ってしまった。人の言葉を話せるようになったヒメは、家族を支配しようとするが……。
わーい! 久しぶりに犬SF読もう! と思ったら、全然ハートフルじゃなくて驚いてしまった(角川ホラー文庫だと忘れていた自分にもビックリ)。前作「かにみそ」のこじんまりとした作風のほうがエグ可愛かったな。

いぬの日 (角川ホラー文庫)

いぬの日 (角川ホラー文庫)

東野治之 聖徳太子 ほんとうの姿を求めて

聖徳太子とはどのような人物で、何をなし得てきたのか。憶測ではなく、残された資料から読み解く聖徳太子像。なぜ歴史の中で神格化され、今日の論争が起こってきたかを解説する。
日本史に興味のある中高生が本書に触れていたら、とても刺激になるであろう1冊。実在する情報を読み解き、冷静に、時に激しく展開する聖徳太子像が、ある意味で新しい。正直それは熱論すぎでは? と思う箇所もあるけど、聖徳太子がどういう存在だったかは間違いないだろう。フリガナの少なさは難だったが、とても読み応えのある岩波ジュニア新書だった。