原作・弐瓶勉 小川一水・飛浩隆・他 BLAME! THE ANTHOLOGY

弐瓶勉が生み出した、無限に建築増殖し続ける世界を舞台に、現代SF作家が書くトリビュート作品集。それぞれBLAME! の世界観を満喫させてくれるけど、飛浩隆「射線」の飛躍力とクオリティは異常でしょう。「射線」は1ページ目で「えらいもんを読んでいるぞ」と引っ張られる力に震えてしまった。なんだこれは。なんていう作家なんだ。

デイヴィッド・ハンドラー 笑いながら死んだ男

作家ホーギーが受けた依頼は、元超売れっ子コメディアン、ソニー・デイの自伝執筆だった。不幸にも元"全米を沸かした者"同士、打ち解けることはなく、インタビューもうまく進まず、ホーギーは命を狙った脅迫までされてしまう。どうして誰かが、何に、嘘をついているのか。
全米を揺るがしながらも2作目が書けなくなってしまった作家ホーギー・シリーズの1作目。ゆったりとしたやや緊張感に欠ける進行だが、真相がとてもよかった。誰も彼もが真実をはぐらかす、たった一つの悲しい理由。森博嗣がS&Mシリーズの雰囲気はここにあると書いていたので少しずつ読んでいるけど、絶版なのは本当に惜しい。

笑いながら死んだ男 (講談社文庫)

笑いながら死んだ男 (講談社文庫)

伊藤由佳理 研究するって面白い! 科学者になった11人の物語

数学、医学、化学、生物学など理学、理工学の世界で活躍している11人の女性たち。どうしてその道に入り、どんなことに悩んだのか。それぞれの思いを、この世界へ憧れる少女たちに語りかける。
好きだからそのまま道を歩んだ人もいれば、家族の反対や、出産で一時は研究から離れた女性など、色んな人がいることが分かる。それでも研究を続けたいという思いを、この世界を目指す同朋への、とても優しく熱いメッセージだ。