原田実 江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統

道徳の教科書にも掲載され、広告にも使われた「江戸しぐさ」。実は江戸から続く伝統などではなく、近代に作られたものだった。その歴史と広がった経緯を追う。

全ての伝統はどこかで、誰かによって作られて、関係者の好意によって広まっていくものだ。というのは僕の持論だけど、そに中に入ってしまった欲望や虚偽を暴く1冊。創作マナーとして始まった「江戸しぐさ」が陰謀論と融合していく過程が、時代と相まってあまりにも悲しい。否定されている事実だけでなく、受け入れられて広まっていく様子もわかる。似非科学、創作歴史に興味があればまとめサイトもいいけど、本書は一読の価値あり。

池上冬樹 週刊文春ミステリーレビュー2011-2016[海外編]名作を探せ!

タイトルまま、週刊文春で連載されたミステリーレビュー集。意外と読み落としていたり、その時は引っかからなかった作品があることに気がつく。『暗殺者グレイマン』など、新しい出会いもあったので満足。この前の年代も出してほしい。国内編も合わせて是非。


 

今野敏 弧拳伝 新装版 (1)(2)

九龍城でストリートファイトをくり返す孤児、朝丘剛。母を殺したヤクザである父へ復讐するため、剛は日本で同じ世界に入る。闇試合での格闘、見よう見まねの功夫と師匠の出会いを通して、剛は戦いの先に何を見るのか。

本屋で平積みになっていたので読んでみた。天才ストリート・ファイターの成長と挫折を書いた新装版全5巻。めっちゃ分かりやすい少年漫画的成長譚に、ヤクザものや女といった大人のスパイスが香ばしいのでどんどん読める。自分の中で一区切りついてしまって2巻まで。個人的には修行シーンがもっと欲しかったところ。1巻ラストの山籠りは最高だったんだけどなあ。

孤拳伝(一) - 新装版 (中公文庫)

孤拳伝(一) - 新装版 (中公文庫)

孤拳伝(二) - 新装版 (中公文庫)

孤拳伝(二) - 新装版 (中公文庫)