山田芳裕 大正野郎

大正時代風の生き方を追求しようとする、現代日本で芥川龍之介を愛した男を描いた『山田芳裕傑作集 1 大正野郎』。一つの奇人漫画であり、下宿先の娘さんに恋をするシンプルな話。そして、自分のプライドを貫き通す非モテ文学でもあります。久しぶりの山田芳裕でもあったのですが、こんなに女性の表情を美しく描ける漫画家だったとは。主人公が恋をしていき、それと同じくして彼女の綺麗さも増していくような、こういった感情移入の仕方は自分としては好きですね。最後の最後まで間抜けなんだけど、ここぞ! という見せ方の上手さにはゾクッとくるものがあります。久しぶりに真っ直ぐな恋愛漫画を楽しむことができました。

山田芳裕傑作集 (1) (小学館文庫)

山田芳裕傑作集 (1) (小学館文庫)