東野圭吾 むかし僕が死んだ家

東野圭吾『むかし僕が死んだ家』を読む。タイトルが凄く良いよねえ。謎の作り方も実にシンプルなのに、最後まで読ませて、タイトルの意味も分かって、圧倒的な腕前を感じさせるのは確かです。しかし！ キャラクタの薄さや軽薄さだけはいただけない。まるでジュブナイルポルノを読んでいるような悲しさだけは止めてほしかったんだけど、裏返しにすれば、このトリックには合っていました。元彼女の消された過去と、母となった見せてくれない謎。それを紡ぎだすのは「むかし僕が死んだ家」。一つのミステリはこうして作られるのか、と分かりやすい内容なので参考になるのではないでしょうか。

むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)