船戸明里 Under the Rose 冬の物語〜春の賛歌

船戸明里『Under the Rose 冬の物語〜春の賛歌』。ヴィクトリア王朝下の貴族家を舞台に、第一部は母親の死を少年が追うミステリ仕立てに、そして二部は女家庭教師の葛藤を描く。庶民が貴族に教育をするといった矛盾の中で苦しむ女性の姿が素晴らしく残酷で、救えない。底にあるのはプライドと、受け継がれるだけの血。今回の読みどころは、寝たきり病弱40代の奥方が今までムッツリと黙っていただけなのに、スッゲェ可愛い表情を見せるシーンでしょうか。それなのに物語は泥沼、しかも広がりつつの第三巻。一年ぶりの新刊になりましたが、「絶対面白い！」と思いながら待った以上の返事をもらうことができました。(2005.10.26)

Under the Rose (3) 春の賛歌 バースコミックスデラックス