メアリー・W・ウォーカー 処刑前夜

かつて妻を殺されたマクファーランド邸で、またしても2人目の妻が殺された。逮捕され、処刑日が刻々と近づくルイ・ブロンクだったが、この事件を機会に無実を主張する。恐怖は堀の中、新しく築けた幸せな家庭だったはずなのに……。犯人は他にいるのか。ルイ・ブロンク事件を追っていた記者モリーは、自分の信念のためにルイの無罪を追うが……。
アメリカ探偵作家クラブMWA賞を95年に受賞。大きくひっくり返される物語とトリックは既出もいいところだが、謎と緊張感が最後まで途切れない上質のサスペンスだ。処刑間近の犯人を取材していたヒロインに、過去に似た同様の事件。そして元旦那の刑事と事件を追いつつ、過去と葛藤する洋ミスらしい元気な姿が読ませる。緊張感のある陪審員ものとはまた違うが、全米でもっとも死刑執行が多いテキサス州を舞台にしていることもあり、時間と戦う緊迫した描写は絶妙だ。

処刑前夜 (講談社文庫)

処刑前夜 (講談社文庫)