飛浩隆 グラン・ヴァカンス ― 廃園の天使〈1〉

仮想リゾート空間の”夏の区画”から、ゲストである人間の訪問が途絶えて1000年。AIたちは疑問に思いながらも、この夏が永遠に続くのではないかと考えていた。しかし、修復AIのクモとは違う”蜘蛛”の出現で、区画は消失を進め始めた。残されたAIたちの物語は、一夜の攻防戦から始まる……。
再読。続編短編集を読んでいたこともあって、世界観や物語も、また違う一面が見えてくる。飛浩隆の脳みそに一歩近づいた気もする。青春風味たっぷりな序盤といい、そこから加速したまま止まらない攻防戦といい、僕個人は最高の”現代風忍法帖アレンジ”として読んでいる。最終はSF的美しさだと思っているのだが、これを楽しめる感受性をもっと育てておきたかったと後悔している。

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)