新生ポケミスで話題になった作家たちの短編集。『卵をめぐる祖父の戦争』(感想)のデイヴィッド・ベニオフは、青年兵を書いた戦争もの。初めてポケミスを読んでから1年以上経ったんだ。あの時の某感想サイトにはあらためて感謝したい。トム・フランクリンと妻の合作もあったり、話題作家ばかりだったり、1人でも気になる作家がいれば読んで損なしの1冊だ。
青春ノワールの傑作『解錠師』(感想)を書いたスティーヴ・ハミルトンより「四人目の空席」。スリリングかつユーモアに溢れたミステリ短編は是非。1冊も本を出していないライター屋に美女からインタビュー依頼がくる「ぼくがしようとしてきたこと」も楽しいけど、もう1編、敏感で詩的な少年を書いた「クイーンズのヴァンパイア」が最高な『二流小説家』(感想)のデイヴィッド・ゴードン。『逃亡のガルヴェストン』(感想)のニック・ピゾラットは、失踪した少女を追う現代アメリカ物語。キラキラと夜空に輝く美しい光景も、それは塵かもしれない。この作家の乾きと潤いは絶対に手放したくない。
- 作者: デイヴィッド・ゴードン,ニック・ピゾラット,トム・フランクリン,スティーヴ・ハミルトン,ダグ・アリン,トマス・H・クック,デイヴィッド・ベニオフ,ベス・アン・フェンリイ,早川書房編集部,田口俊樹,伏見威蕃,越前敏弥,東野さやか,青木千鶴,冨永和子,府川由美恵
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/03/09
- メディア: 単行本
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