昨年はこれがよかった! という自分なりのベスト(05年版)(06年版)(07年版)(08年版)(09年版)(10年版)。昨年は海外ミステリを充実した年だった……。その中心になったのがハヤカワ・ポケット・ミステリだ。ジャンル内を問わず、幅広く面白い作品ばかりを読めたことに感謝したい。順位などなく、夢中の読書をさせてくれたこの4冊を挙げたい。
嫉妬深くもどこか憎めないポルノ作家と女子高生のコンビが楽しく、マニア向けではあるが抜群のトリックが最高なデイヴィッド・ゴードン『二流小説家』(感想)。乾ききったマフィアと娼婦の世界でも、どうしても人を思うことを止められない心を書いたニック・ピゾラット『逃亡のガルヴェストン』(感想)(余談だが、YOTY"幼女 of the year"に投票するならこれだ!)。そして激熱プッシュしたいのが、とりあえずガチな警察バディものが読みたければユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q 檻の中の女』(感想)を手に取ってくれ! 間違いなく傑作でシリーズにはまるから。最後に紹介するのは、来年確実にランクインするであろうスティーヴ・ハミルトン『解錠師』(感想)。青春ノワール・ミーツ・ガールとも呼びたい傑作。中高生から、読みなれたミステリ・ファンにも薦めたい。
ポケミス以外から、面白かった海外ミステリを4作。11才最高! 天使探偵キタコレ! と叫ばずにはいられなかった(立派なミステリです)アラン・ブラッドリー『パイは小さな秘密を運ぶ』(感想)。この奇妙さと切なさはなんだ? 弁護士が出会う事件をまるでドキュメンタリのように書いたフェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』(感想)。デビュー作からマフィアものまでの集大成、俺らのドンが完成形を示してくれたドン・ウィンズロウ『夜明けのパトロール』(感想)。ファン待望の4作目にして、最強最悪の兄貴が暴走しまくるジャック・カーリイ『ブラッド・ブラザー』(感想)。オニイヂャンラメー! ジンジャウー! マジでこんなストーリなんですよ。このドライブ感は体験すべき。
恥ずかしながらここ数年再読をしている冲方丁のシュピーゲル・シリーズ。今年もテスタメント新刊はでなかったですね(笑顔)。いやでも、様々な独裁政権が崩壊していった2011年、裏ではプリンチップ社と妖精たちが戦っているのかと妄想が止まらなかった。
最後に本ではないけれど、一大暗殺譚ゲーム・シリーズ、アサシンクリード2三部作完結ありがとう! 青年デズモンドのDNAから祖先の記憶を再現し、暗殺者集団に属するアルタイル、イタリア貴族のエツィオ3部作を経て、ついに遂に両者の人生が完結する。アクションゲームとしての遊びやすさは完成しているし、イタリア・トルコの観光も素晴らしい。超巨大化したSFストーリも並行して楽しんでもらいたい。
本当は〆るのに流血女神伝シリーズから、同人誌として発売された須賀しのぶ『光来たる島』(感想)にも触れようと思っていました。ただ、11年12月からコバルト文庫から角川文庫に移行してシリーズ再販が始まりました。これを11年度最後の読書として、12年度のベストで挙げようと思っています。