デニス・レヘイン 闇よ、我が手を取りたまえ

私立探偵パトリックとアンジーのもとへ、精神科医がやってきた。ボストン街を巣食うマフィアから脅迫を受けているようだ。ボスとの面談を済ませば終わると思っていた事件は、意外なかたちで牙を剥く。かつての友人が磔にして殺された。それは20年前に起こった悲劇の再現なのか。あの犯人は獄中にいるのに、誰が暴走し始めたのか……。
『スコッチに涙を託して』(感想)に続く、ボストンの私立探偵シリーズ第2弾。親友とも恋人とも同僚とも呼べない、男女2人のウィットに富んだ会話に始まり、気づけば町の過去を炙りだすパトリック・ケンジー・サーガになっていた! この濃厚さ。この密度。この愛。パンチの強すぎる物語にクラクラ。マフィアものかと思わせ、猟奇殺人事件から子ども時代の美しさと残酷さを引き出す様は圧巻。いやいや、素晴らしかった。

闇よ、我が手を取りたまえ (角川文庫)

闇よ、我が手を取りたまえ (角川文庫)