津原泰水 11 eleven

戦時中、見世物小屋で日々の金を稼ぐ、血の繋がっていない異形の家族。百年に一度生まれ、未来の事象を伝えるという「くだん」を一族に加えようとする。(「五色の舟」) 戦争に召集された領民に変わり、戦地へ行った偽りの領主の息子。帰国したが、自分は死んだことになっていた。(「土の枕」) 他9編を収録。
初めて「五色の舟」を読んだときに感動して、近藤ようこのコミック版も何度も読み返した。淡々としているのにとても残酷で、こんな体でも、どんな世の中でも生きたいという気持ちが、物語とともに深々と降り積もっていく。とてもとても好きな小説だ。「土の枕」は読み終わる瞬間に、小さな悲鳴を挙げてしまった。他9編は分からないものもあり。久しぶりに津原泰水を読んだ。

11 eleven (河出文庫)

11 eleven (河出文庫)