ケン・リュウ短篇傑作集 もののあはれ

ヒューゴー賞を受賞した「もののあはれ」や、妖怪退治を生業とする青年と妖狐の出会いを書いたスチームパンク「良い狩りを」など8篇を収録。

『紙の動物園』と対をなす短編集。『紙の動物園』の印象が強すぎて、SFセンスのない僕には少ししんどかったけど、1年に1冊はわからないSFを読んでおきたい(?)。「良い狩りを」は誰もが好きなテイストで、最後は言葉だから書ける映像美だった。

もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)

もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)

森本あんり シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理

どうしてトランプ政権が誕生したのかを、アメリキリスト教史から読み解く。なぜ勝ち組の論理がまかり通り、ポピュリズムが蔓延していくのか。世界の大国アメリカの深層を探る。

トランプ政権の誕生が現代アメリカの流行などではなく、アメリカ建国から続く病理であると説く。その姿は新興宗教の成長過程にとても似ていると読める。最終章が小難しくて分からなかったが、移民・建国・近代へのダイナミズムを理解できるのでオススメ。

村上重良 世界の宗教

原始宗教から三大宗教、儒教道教ヒンドゥー教ジャイナ教まで、成立や発展の経緯、教えの内容をコンパクトにまとめたベストセラー。

なるほどしっかり『世界の宗教』が手元サイズでまとまったロングセラー。しかしコンパクトすぎて、ここから専門書に入らねばといった印象。三大宗教のそれぞれの歴史を舐めつつ、中世キリスト教が権力へと変化していく様子が圧巻。この展開がなければ、世界はもっと変わっていたのではと思わずにいられない。ともかく、世界宗教史総なめの本書はオススメ。

世界の宗教 (岩波ジュニア新書)

世界の宗教 (岩波ジュニア新書)