藤原辰史 給食の歴史

多くの人が幼少期のいっとき、毎日のように口にしてきた給食。楽しみにしていた人も、嫌いだった人もいたはず。その給食とは何だったのか? 貧困、災害、運動、教育、世界という切り口から給食の歴史を解き明かす。

給食の思い出はどっちもあるけど、叶うならもう一度食べたい。あの焼きそばとかミートスパとか、絶対出会えない味があった。「トラクターの世界史」の著者が書く給食の歴史。教育の平等化によって生まれた空腹の格差問題は、貧困との戦いに発展していく。「アメリカ小麦戦略」の意図とギャップを再検証したことも面白い。平等に同じ食事ができる環境が整っているからこそ、飽食の時代からこの先、それでも給食は必要なんだと感じさせる

その場で作るかどうか、器材の更新で劇的に美味くなることを体験してしまうと、面白い給食を食べたい、食べさせてあげたい。

給食の歴史 (岩波新書)

給食の歴史 (岩波新書)

森博嗣 デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping?

スーパーコンピュータと同時に、生殖可能な一族がフランスの修道院にいることがわかった。調査に入ったヴォッシュ博士は日本からハギリを呼び寄せた。同時にナクチュの頭脳が再起動。新たなトランスファの存在が明らかになった……。

森博嗣のWシリーズ全10巻、4巻はフランス編。この舞台はあれらしいけど、記憶になくて困ったわ。他のシリーズでも同じく、電脳戦を書かせると実に渋くて格好いい。

ジョー・イデ IQ

仲間は敬意を表して彼のことを“IQ”と呼ぶ。探偵・黒人青年アイゼイアは、元ギャングの金持ちドッドソンから、仕事を請け負うことになった。大物ラッパーを狙う殺し屋をさがすのだが、なんと凶器は巨大な犬! それなら人ではなく、犬を追うことにした“IQ”とドッドソンだが……。

テンポのいい“IQ”の今の物語と、過去の事件を書いた少年アイゼイアの物語が交差して、この面白さはミステリーと冒険小説の融合で、ガッツリ読ませにくるじゃない! そして探偵へとならざるを得ない悲しき成長譚。2作目へと余韻を残すエピローグといい、こんなシリーズが始まれば応援したくなるんだよね。

IQ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

IQ (ハヤカワ・ミステリ文庫)