小川一水 天冥の標7 新世界ハーブ

男性24905名。女性27339名。成人1029名。残存人類、52244名。救世群の策略により、人類社会は絶望の淵に立たされた。小惑星セレスの巨大な地下施設に逃れた少年たちは、辛うじて緊急自治体を立ち上げ、地上のシティへ助けを求めるが……。

絶望の中、期待の面々が集合。しかし……。涙を流しながら奮闘する少年少女の姿に引き込まれてしまった。ここまで書いてくれた小川一水、ありがとう。ここまで読んできた俺、マジでよくやった! 大きく膨らんできた物語がグッと濃縮される面白さと、1巻へと繋がる気持ちよさ。最後まで読み通そうとするモチベーションを爆上げしてくるとは。

天冥の標Ⅶ 新世界ハーブC

天冥の標Ⅶ 新世界ハーブC

アンディー・ブランニング カリカリベーコンはどうして美味しいにおいなの? 食べ物・飲み物にまつわるカガクのギモン

タマネギを切れば涙が出る。ミントを食べれば清涼感を得る。誰もが知っていることだけど、何が起こっているかを化学的に伝えるのは難しい。私たちの食生活に関わることを、有機化学の視点から説明する。

ある高校の図書室で勧められていたので読んでみた。ビール瓶はどうして色付きなのか、お薬とグレープフルーツの関係など、食にまつわる化学トリビアを集めた1冊。イラストや写真、化学式が直感的にわかりやすく、説明というよりコラム。原題が「Why Does Asparagus Make Your Wee Smell? (アスパラガスを食べるとどうして小便は臭うのか?)」で、変更したのも察するしかない。

乙一 小説シライサン

女子大生・瑞紀の目の前で、親友が眼球を破裂させて死亡した。同じように弟を亡くした青年が彼女を訪れ、奇妙な事件性に気づく。変死した2人は、何かに恐れていた。その原因は、温泉旅館で怪談を聞いていたからなのか。異様に目の大きな女の名を告げられると「呪われてしまう」。調査の最中、瑞紀たちの周辺でも怪異が起こる……。

乙一本人が安達寛高名義で映画監督をして、そのノベライズ。呪いが連鎖していく「リング」をベースに、乙一が得意とする極悪なテイストを煮詰めて1滴だけ垂らして仕上げる。変わらずのリーダビリティは見事で、なにより最後! めっちゃ好きなやつだけど! ラストに花開く、隠された苦味を楽しんでください。

小説 シライサン (角川文庫)

小説 シライサン (角川文庫)

  • 作者:乙 一
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/11/21
  • メディア: 文庫