瀧本哲史 2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義

2012年6月30日、東京大学で行われた伝説の講義を完全収録。今は変えられなくても、この話しを聞いた皆さんが日本を変え、8年後は期待のもてる国になっているかもしれない。その2020年6月30日にまたここで会おう。

2021年2月末、新宿紀伊國屋にひさしぶりに行ったので、ベストセラー1位の新書を購入。残念ながら著者は2019年8月に亡くなったが、今読んでもメッセージの強さも思想のベクトルも十分健在。別の講演者が「コロナ禍の今は最悪の年。でも歴史はくり返す。若い世代が作り変えるから応援してほしい」と語っていたことを思い出した。

山田風太郎 室町お伽草紙 青春! 信長・謙信・信玄 卍ともえ 山田風太郎傑作選 室町篇

京の都に集まってきた戦国の強者たち。狙うは南蛮銃300挺。手に入れるためには足利将軍家の姫・香具耶を捕らえなければならない。飯綱使いの妖女・玉藻に手を貸す、堺の人物とはいったい誰なのか。

信長に松永弾正や千利休武田信玄上杉謙信までが京に堺に集まりワチャワチャする物語だった。明確な主人公は不在だが、ツートップヒロインの香具耶と玉藻の存在感が圧倒的すぎて、山田風太郎っぷりを堪能できる。週刊誌連載だったのでテンポはいいが、男塾のように慣れると飽きを感じるボリュームだった。

サマンサ・ダウニング 殺人記念日

トラブルから生じた殺人と隠蔽をきっかけに、共同作業を経て夫婦円満となった「わたし」と妻。しかし殺したはずの女性が生きたまま監禁されていた。どこで? なぜ妻はわたしに隠した? 過去にいた殺人鬼の復活だと街でもメディアでも話題になるが……。

主人公である夫の軽口と、仕事から家事までバリバリこなす天才肌の妻。年ごろの子どもたちがスパイスとなり絶妙な1作。どんどん窮地に追い込まれる物語に、手が止まらず分厚さをまったく感じさせなかった。今年のベストにいれると決めたのは、エピローグの残り香が気持ちいいからだ。良質なサスペンスを読み終えると、いい夢を見ているような快感がある。