賀東招二 終わるデイ・バイ・デイ ― フルメタル・パニック!

戦場からの転校生・相良宗介と、そんな彼を見守ることになる同級生・千鳥かなめとのラブコメ学園戦場物語シリーズ本編4巻。宗介とかなめが繋ぎとめようとした日常も、巨大組織”ミスリル”の手によって終わろうとしていた。謎のアーム・スレイブが香港に出現。出ては消えするASに、南北中国で戦争が起ころうとしていた。無条件で突きつけられた任務の中で、宗介は自分という存在の矛盾に気づいていくが……。
宗介の戦場という日常、かなめと一緒にいた学校という日常。今まで短編で書かれていた笑いあり、涙ありのコメディだった世界が、長編4作目にして、彼らの心情を揺るがし始める。宗介自身が組織にも、学校にも、矛盾が生じる存在だと気づいていく過程も素晴らしいが、彼を信じる裏方たちの動きが物語を熱くしてくれる。今までのアニメのようなパニック・ロボット小説、キャラクタ・コメディ小説かと思わせながら、ここにきて奇跡的な合体をしてくれるとは……。
そしてテッサと副長マデューカスの口論は涙なしには読めない。強襲揚陸潜水艦トゥアハー・デ・ダナン艦長テレサ・テスタロッサが唯一手にしたのは戦い、生き残るための日常。恋さえも軍紀に反すると言われ、それでも……。恥ずかしながら文字が読めないほど、泣きに泣いた。