冲方丁 テスタメントシュピーゲル3 上

近未来ウィーン。人種・文化・技術・遺産が集結する国際都市ミリオポリス。公安高機動隊MSS、警察部隊MPBはリヒャルト・トラクル率いるプリンチップ社の誘導に屈してしまう。残された最後の切り札は1枚。涼月が敵を蹴散らし前に進むのみ。散りぢりになった特甲児童を再結集させるため、唯一残された移動手段を使い、ミリオポリスを疾走する。鏡合わせの物語を終えるために。
テスタメントシュピーゲル3 下を読む前に再読。3下を読み終えての感想としては、今までのアクション・シーンの集大成だったことに気づく。やっぱりすげぇ。孤独な共闘シーンが泣ける。今までの兵器や犠脳体、それに戦争のプロたちと特甲児童たち。全部をあの文体で、超高速で撹拌しながら一気に読ませる。戦闘か激励か、リヒャルト・トラクル率いる凶悪集団が悪巧んでいる会話しかない。とても尊い1冊。

黒木あるじ 全国怪談 オトリヨセ 恐怖大物産展

全国怪談2冊目。北海道から沖縄まで各都道府県にまつわる怪談を紹介。ホロリから廃墟、UFOもあって、幅広くて好きなシリーズなんだよなあ。大阪と岡山の舞台は実在するようなので行ってみたい。

 

小瀬木麻美 調香師レオナール・ヴェイユの香彩ノート

若くして香水の世界的ヒット作を生み出した、一流調合師レオナール・ヴェイユ。彼は香りから色を感じる共感覚者で、今は依頼者だけのプライベート調合を行なっている。月見里瑞希は先の短い母のために、彼女の思い出を香水にしてほしいと依頼する……。
香りにまつわる小説が好きな友人に教えてもらい読んでみた。なんとピュアすぎるキャラに物語に世界に、えっ? 実はイヤミスだったりして? という心を打ち砕くほど、俺にとっては綺麗すぎた。