アイザック・アシモフ はだかの太陽

人間1人にロボット1万台が割り当てられる宇宙国家ソラリア。この星の史上、かつて起こらなかった殺人事件を機に、地球の刑事イライジャ・ベイリが呼ばれた。疑問を抱くベイリだったが、地球外の情報を収集したい上層部の意向に逆らうことはできず、ソラリアへ行くことに。現場に残されていたのは被害者の死体と、機能が破壊していたロボットのみ。凶器はどこへ消えたのか。そして明確すぎる容疑者の真相は……。
再読。『鋼鉄都市』(感想)に続く、刑事ベイリとロボット・ダニールのバディもの。閉ざされた地球から、開かれたソラリアに舞台を移し、コミュニケーションを映像・音声のみで済ます条件付きミステリ。書かれ方は、順番に事情聴取をしていく古典的ミステリであり(半世紀前の作品だったのか)、推理のためにソラリア社会を理解・解体する構成は、SFというもの凄い引力渦に引っぱられていく惑星ミステリ、と例えたい。硬い歴史小説のように読めてしまうが、ユーモアに富み、楽しいところがアシモフの良さだろう。

はだかの太陽 (ハヤカワ文庫 SF 558)

はだかの太陽 (ハヤカワ文庫 SF 558)