トム・フランクリン ねじれた文字、ねじれた路

親友と認め合った少年時代から25年後、ホラー小説を愛する内気な白人少年ラリーは冴えない修理工に。野球に情熱を注いだ黒人少年サイラスは町の治安官になっていた。もう会うこともないと思っていた2人は少女失踪事件を機に再びめぐり合う。かつて同級生誘拐事件で容疑をかけられたラリーと、その事件を忘れられないサイラス。米南部に田舎町を舞台にした、英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー受賞の傑作がここに。
短編集『密猟者たち』からようやく長編が刊行された。ただ、読んでしまえばトム・フランクリンらしい、本から砂埃が舞い、油臭い印象は変わらなかった。オタ童貞の生涯41年間で2度も少女失踪事件で容疑をかけられる主人公からスタート。ちょっときつい。米南部の田舎町とあって、白人黒人、豊かさと貧しさ、才能と不器用、少年と大人などの様々な対比が渦巻く作品になっている。現代と過去が入交り、淡々と語られる物語に、何が幸せで、何が好手だったのか、読者は最後まで答えを出せないだろう。

ねじれた文字、ねじれた路 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ねじれた文字、ねじれた路 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)