森博嗣 キシマ先生の静かな生活 The Silent World of Dr.Kishima

助手の地位に留まっているが、先生は素晴らしい人だ。研究にしか興味がない。そんな先生が計算機センターの事務員である沢村さんに恋をしてしまったようだ。まさか先生が人に興味をもつなんて。
まどろみ消去』に収録されていた名作をKindleで再読。初めて読んだのは高校生だったか。カミソリのような切れ味を感じて何度も手にしてきたけど、久しぶりに読むとアレッ? だった。S&Mシリーズころの作品はとくにそう感じる。本はそのままだけど、僕は変わっているんだな。

上遠野浩平 荒木飛呂彦 恥知らずのパープルヘイズ ジョジョの奇妙な冒険より

あのイタリアの冒険から半年。組織を裏切ったパンナコッタ・フーゴは、幹部から呼び出しを受ける。命令は、表舞台に顔を出したボスが危険視する、もっともヤバい麻薬チームの壊滅。フーゴは再起へのチャンスとして呼ばれたのか、それともただの捨て駒として呼ばれたのか。今までにない暴力的な冒険が始まる。
文庫化で5年ぶりに再読。ライトノベル作家上遠野浩平が書くジョジョ5部の後日譚。乙一版4部の後日譚はミステリ仕上げで、しっかりとジョジョでもあるし、本格ミステリーとしても素晴らしい。しかし今作は文字だけを追っているはずが、まるで漫画を読んでいるように錯覚させられる。当にスタンド攻撃をくらった驚きとはこれだろう。過剰と感じるかどうかはファン次第だが、他部からのエッセンスを挿入してくる巧みさに感動。こんなに上手い作家だったのかと、とても驚いてしまった。。追加の短編も趣きがあって◯。5部を読んだ人は手に取るべきだろう。

伊坂幸太郎 マリアビートル

東北新幹線に乗り合わせた、酒に溺れた元殺し屋の木村。大物の息子を連れて帰るコンビ、檸檬と蜜柑。悪魔が中学生に化けた王子。運のない殺し屋の天道虫。それぞれの目的が複雑に絡み合い、どう落とすか決められない殺し屋たち。上野から盛岡までのノンストップ狂想曲。
グラスホッパー』に続く、殺し屋シリーズの2作目。それぞれのキャラのテンションが高く、視点がコロコロ入れ代わり、絡み合っていく物語が最高。コメディーになってしまいそうな世界観なのに、キャラはクールに見えて、展開が熱いからたまらんなあ。前作はほぼ覚えていないけど、この1作でも十分楽しめる。