石水創 「白い恋人」奇跡の復活物語

2007年8月、賞味期限の改ざん、ずさんな生産ラインの告発。誰もが知っている北海道のお土産銘菓「白い恋人」の生産が止まった。あれから10年。35歳の若き社長が立て直しを振り返り、当時を知らない新たな世代へ、石屋製菓と北海道の未来を語りかける。
朝日新聞の書評欄で紹介されていたので読んでみた。めっちゃ白い恋人を食べたくなります
(六花亭派だけど)。ともかく、「奇跡」と冠が付いているけど、北海道の経済界によって計算ずくめです、ありがとう御座いました、という感じ。そりゃ1日80万枚以上焼いている生産量とブランドがストップで終わらなかったら、北海道はどうなっていたんだろう。大変綺麗に書かれているけど、それぐらい一大事だったことがよくわかる。

「白い恋人」 奇跡の復活物語

「白い恋人」 奇跡の復活物語

森博嗣 キシマ先生の静かな生活 The Silent World of Dr.Kishima

助手の地位に留まっているが、先生は素晴らしい人だ。研究にしか興味がない。そんな先生が計算機センターの事務員である沢村さんに恋をしてしまったようだ。まさか先生が人に興味をもつなんて。
まどろみ消去』に収録されていた名作をKindleで再読。初めて読んだのは高校生だったか。カミソリのような切れ味を感じて何度も手にしてきたけど、久しぶりに読むとアレッ? だった。S&Mシリーズころの作品はとくにそう感じる。本はそのままだけど、僕は変わっているんだな。

上遠野浩平 荒木飛呂彦 恥知らずのパープルヘイズ ジョジョの奇妙な冒険より

あのイタリアの冒険から半年。組織を裏切ったパンナコッタ・フーゴは、幹部から呼び出しを受ける。命令は、表舞台に顔を出したボスが危険視する、もっともヤバい麻薬チームの壊滅。フーゴは再起へのチャンスとして呼ばれたのか、それともただの捨て駒として呼ばれたのか。今までにない暴力的な冒険が始まる。
文庫化で5年ぶりに再読。ライトノベル作家上遠野浩平が書くジョジョ5部の後日譚。乙一版4部の後日譚はミステリ仕上げで、しっかりとジョジョでもあるし、本格ミステリーとしても素晴らしい。しかし今作は文字だけを追っているはずが、まるで漫画を読んでいるように錯覚させられる。当にスタンド攻撃をくらった驚きとはこれだろう。過剰と感じるかどうかはファン次第だが、他部からのエッセンスを挿入してくる巧みさに感動。こんなに上手い作家だったのかと、とても驚いてしまった。。追加の短編も趣きがあって◯。5部を読んだ人は手に取るべきだろう。