アガサ・クリスティー ABC殺人事件

ポアロに届いた予告状のとおり、Aで始まる町で、Aの頭文字の老婆が殺された。現場にはABC鉄道案内が残されていた。続いて第二、第三の予告状が届き、事件の阻止のため警察と協力をするポアロだったが、現場にはABC鉄道案内が……。

ミステリー史上初期のミッシングリンクもので、ここまで詰めこむ!? と驚く作品。トリックを知りながら読んだのは『オリエント急行殺人事件』も同じだけど、展開と折りたたみ方の創意工夫は、やっぱり読んで実感しないとダメだな。この感情は、美しい道具を見るだけではなく、使ってみて理解できたときに近い。

ABC殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ABC殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

堀江貴文 本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方

タイトルまま。間違って購入したけど、ホリエモンはどんなのを書くのかと、せっかくなので読んでみた。ストレスをなくすために本音云々から、自分に価値のある時間をどう作るかが大切だよという話しでした。全くもってその通りで、弱った意志に働くカンフル剤のような1冊だ。

小川一水 天冥の標5 羊と猿と百掬の銀河

西暦2349年、小惑星パラスにて野菜農場を経営するタックは、一人娘のザリーカとなんとか生活をしていた。しかし老朽化する装置、大手ロボット会社の進出、娘の反抗期に悩む中、地球の学者アニーの世話も負うことになり、生活が変化していくのだが……。その6000万年前、ある惑星の海底に1つの自我が目覚めた……。

ボリュームとしては折り返してないだと……? と感じたシリーズ5巻目。厳しい環境下での農業シム小説は地味ながら面白く、小川一水の書く、人が広げていく物語はやっぱり面白い。断章である6000万年前に目覚めた意識については、少しずつ置いてけぼりになってしまい、終盤になるほど苦労してしまった。しかしエピローグの驚きは、今まで何を読んでいたのか、自分で疑うほど。