今村昌弘 魔眼の匣の殺人

「あと2日で4人が死ぬ」人里離れた村に残された施設“魔眼の匣”で孤独に過ごす老婆の予言は必ず当たる。施設を訪れた葉村譲と剣崎比留子たちは、導かれるように老婆と面会する。しかし唯一の出口である橋が燃え落ち、その直後、予言を成就するように1人が死ぬ。残った女子高生がさらなる死を予言したことで、残された人々は混乱するが……。

ゾンビパニックミステリー『屍人荘の殺人』に続くシリーズ第2弾。「絶対4人死ぬ48時間」という設定の中で、独特の展開を見せるロジックと動機。犯人への追い込みと、設定を詰め込んだ終盤が凄まじく、思った以上のボリューム感だ。本格ミステリーの読み応えを得たければ十分だろう。有栖川有栖『孤島パズル』のような繊細さを求めちゃだめですか?

魔眼の匣の殺人

魔眼の匣の殺人

山崎聡一郎 こども六法

いじめや虐待は犯罪です。というけれど、私たちは法律についてほとんど知りません。誰かに助けてもらうまで苦しむのではなく、法律が強い味方であることを知ってほしい。そのために、イラストを付けて誰もが読んで学べる法律の解説書を作りました。

法律=「社会のルール」であることを明確にし、シンプルに言葉とイラストで表現する。ニュースなどで見る単語もわかりやすい。最後の「いじめで悩んでいるきみに」は、被害者にも加害者にもならないために、小冊子にして子どもに読ませておきたい。

こども六法

こども六法

  • 作者:山崎 聡一郎
  • 出版社/メーカー: 弘文堂
  • 発売日: 2019/08/20
  • メディア: 単行本

小川一水 天冥の標8 ジャイアント・アーク

「起きて、イサリ」強制的に目覚めさせられたイサリは、妹ミヒルと対面するが残酷な現状を知らされる。戦いは最終段階を迎え、人類の結末が近づいている。絶望するイサリに謎の監視者が「非感染者の生存者たちがいるかもしれない」と囁きかける。深層へ飛び込んだイサリが見たものとは、出会った人とは、その世界とは。

遂に巨大な物語の舞台はメニー・メニー・シープへ。1巻の鏡写しとも呼べるシリーズ8巻は、言うなれば物語のバトンゾーン。曇っていた物語がスッキリと晴れたと同時に、今まで散りばめられていたエピソードが再登場し、モヤモヤは増すばかり。残り5冊。俺ガンバレ。

天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク PART1

天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク PART1

天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク PART2

天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク PART2