村上重良 日本の宗教

宗教心が薄いと言われる日本には、仏教・神道キリスト教イスラム教など、さまざまな宗教・宗派が共存しています。そして新宗教も多く登場しています。その活動は古来より政治や生活、社会全体に大きな影響を及ぼしてきました。日本という自覚が芽生える前から今日まで、どのような信仰を歩んできたのか。

岩波ジュニア新書『世界の宗教』と同じく村上重良による日本版。淡々とした文体は読みやすく、しかし内容は超濃厚なためボリューム感がすごい。あらためて天台宗の存在感と、日蓮宗の口出しっぷりに驚かされる。無宗教とは違う、日本人の宗教観がよく理解できる1冊だ。

日本の宗教 (岩波ジュニア新書)

日本の宗教 (岩波ジュニア新書)

黒木あるじ 怪談実話 無惨百物語 ゆるさない

子どものころ、祖父から言われた理不尽なこと。仲間内で盛り上がった肝試し。少しの好奇心が、何かの感情を揺さぶり起こしているのかもしれない。実話怪談の収集家による百物語シリーズ

シンプルに怖く、現代から回想まで時間軸も豊富な百物語シリーズ。オカルトもあり、震災もあり、文句なしの塩梅で楽しめるシリーズ。

濱野ちひろ 聖なるズー

犬や馬などの動物をパートナーとする動物性愛者たち。通称「ズー」。性暴力によって苦しんできた著者は、ズーと寝食を共にしながら調査を進める中で、性への理解と疑問を深めていく。ヒトと動物とは、パートナーとのセックスを問う。

第17回開高健ノンフィクション賞受賞作。新聞の読書欄と、表紙の視線にやられてしまった。ズーと対峙していくだけでなく、著者の性暴力を受けた背景から始まり、自身のトラウマと戦っていく。そのタフな姿はとても繊細で美しい。

聖なるズー

聖なるズー