ベン・ギャロッド きみがまだ知らないティラノサウルス

噛む力は現在最強のワニの3倍以上! ティラノサウルスはどれくらい早く走ったの? どんな狩りをしていたの? 知っているようで知らないティラノサウルスの体から骨まで詳しく解説。最新の研究でわかってきたその姿とは。

ハヤカワ・ジュニア・ブックスから科学書が出た! と喜んで読んでみた。「トリケラトプス」「ステゴサウルス」もあるけど、やっぱり最初はティラノサウルスでしょー。子どものころに読んだ知識とまた違う、色や羽毛も含んだ最新の研究まで書かれている。軽めながら腹八分目で満足。

阿古真理 何が食べたいの、日本人? 平成・令和食ブーム総ざらい

平成のバブル景気から高止まりしたままのグルメ大国日本。雑誌の特集が牽引し、グルメマンガが流行り、ミシュランまで上陸した。ディアラミスやタピオカドリンクを切り口に、この30年の熱狂をふり返る。

クックパッドに連載された平成食ブームの連載をまとめた1冊。阿古真里は『小林カツ代栗原はるみ 料理研究家とその時代』『「和食」って何?』の2冊が素晴らしいので読んでください。これらを超えるドキュメンタリーを出してくれると信じて、阿古真里を応援しています。

澤田典子 よみがえる天才4 アレクサンドロス大王

父からマケドニアを譲り受け、インド北部までに及ぶ東方遠征を成し遂げたアレクサンドロス。帰路の途中、32歳で亡くなってしまった彼は、様々なかたちで消化されていく。評価と伝説はなぜ終わらないのか。時には暴君と呼ばれたアレクサンドロス大王の実像に迫る。

「ローマ人たちが多くのアレクサンドロス大王の物語や評価を残したが、彼らの都合が多分に含まれる」から始まる本書。司馬史観をぶった斬るような気持ちよさがまず気持ちいい。序盤から、ページの多くに父フィリッポスとその功績について割かれ、周辺国との歴史背景がかなり詳しく、アレクサンドロスにどう影響したかがよくうかがえる。彼の魅力と謎の多さから自由に妄想できるが、とても冷静な筆捌きは今年1番の感動だった。