2011-01-01から1年間の記事一覧

フェルディナント・フォン・シーラッハ 犯罪

弁護士である私が出会った、数々の加害者。妻を一撃で殺した老医師、国外に逃げた心優しい銀行強盗、犯罪一家を救うため法廷を騙そうとする青年……。彼らは紛れもない犯罪者。ただの人、だったのに。 デビュー作であり、文学賞3冠、ベストセラーとなった話題…

ジョー・ウォルトン ファージングI 英雄たちの朝

とりあえず、読んだよアピール。英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫)作者: ジョー・ウォルトン,茂木健出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/06/10メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 71回この商品を含むブログ (55件) を見る

木原浩勝 九十九怪談 第二夜

怪談とかホラーとかゾンビとか苦手なんだけど、それにキョンシーも、毎夏は読んでしまう怪談シリーズ第2弾。新耳袋から読み続けているので10年近くになるのか。ここ数年にはなかったブルリっぷりもあって、トイレを我慢するほど大変怖かった。九十九怪談 第…

山田風太郎 警視庁草子

時は明治6年。江戸を終えた日本は大きな波に乗ったところだった。西郷隆盛は薩摩へ、政府は大久保利通に、そして治安は川治利良によって警視庁として、産声をあげた。しかしそんな中で警視庁にちょっかいを出す輩たちがいた。元江戸南町奉行・駒井相模守を頭…

ユッシ・エーズラ・オールスン 特捜部Q ― 檻の中の女 ―

コペンハーゲン警察の地下に、ひっそりと構えている特捜部Q。過去に起こった未解決事件を専門に扱う新部署に配属されたのは、事件による巨大なトラウマを抱えたベテラン刑事カールと、デンマーク語さえ怪しいが、女の扱いは超1流な変人アシスタント、シリア…

東野圭吾 真夏の方程式

かつては賑わった海水浴場で、ぶらりと町を訪れた元刑事に起こったのは事故か、殺人か。夏休みの間だけ、親戚の旅館に泊りにきた少年は、不思議な博士と出会う。彼は海底資源を目的とした企業と、環境保護団体のコメンテーターとして来たというが……。 ガリレ…

冲方丁 マルドゥック・フラグメンツ

バロット、ウフコック、ボイルドたちの現在・過去・未来。マルドゥック・スクランブル、ヴェロシティ、そしてアノニマスを描写する5本の短編集。馬鹿な話しが、自分にとっての格好良さとか好きなものって、成長とともにシナプス配列が書き換えられてると思っ…

沼田まほかる ユリゴコロ

彼女を家族に紹介した、幸せだったあの日……。実家の押し入れから出てきた女性の髪の毛と、4冊のノート。そこに書かれていたのは、とある殺人鬼の告白だった。これは創作なのか、事実なのか。どうして父は隠すようにしまっていたのか、それとも……。 なんか母…

シーリア・フレムリン 泣き声は聞こえない

マタニティウェアに身を包み、町を歩けば好奇の視線にさらされているのは、15歳の少女ミランダ。まだまだ受験も遠く、だけど青春と恋に憧れていた少女のお腹には、ただの詰め物がされているだけ。どうして彼女の身にこんなことが!? 桜庭一樹が青春の1冊に挙…

ニック・ピゾラット 逃亡のガルヴェストン

医者から肺がんを言い渡された夜、ボスに裏切られ、危うく死ぬところだった男ロイ。運の尽きかけた現場で出会った家出娼婦ロッキーと共に逃げるが、ロイは少女の将来を考えてしまった。たどり着いたアメリカ南部の島で、中年少女たちは残りの人生を輝いたも…

須賀しのぶ 北の舞姫 芙蓉千里2

世界一の女郎を目指し、芸妓となった少女フミ。日本を離れ、北の地でパトロンである実業家・黒谷と結んだ絆と愛を楽しんでいた。激動する世界情勢の中、お座敷仕事も繁盛している……。舞と同時に魅了されたバレエの存在……。だけど、何時も頭の片隅にいるのは…

万城目学 プリンセス・トヨトミ

東京から来た会計検査院の調査官三人は、検査中に社団法人OJOの存在を知る。まるで存在しないかのように存在する組織とはいったい……。しかし、その裏には、秘められた大阪400年の歴史が存在した。その扉を開くとき、大阪は完全停止する。 本屋で映画予告を見…

山白朝子短篇集 死者のための音楽

乙一が山白朝子名義で書いた怪談作品集。言われなければ気づかないほど、作風が今までとは大きく違う。「黄金工場」「鳥とファフロッキーズ現象について」は、スニーカー時代の短編を思い出させる。乙一が好きならどうぞ。山白朝子短篇集 死者のための音楽 (…

ヨハン・テオリン 黄昏に眠る秋

少年が霧の中で消えてから20数年後の秋。祖父の元船長イェルロフのもとに、少年が履いていたサンダルが届く。事件後、心を病んだユリアはイェルロフを訪れるも、父娘の仲はぎこちないものだった。長年、照らされることのなかった暗闇の中に、父娘は真実を見…

泉和良 エレGY

パンツ姿の写真を求む! フリーゲームを公開するアンディー・メンテの管理人である僕(ジスカルド)は、壊れかけの女子高生エレGYと出会った。彼女が好きなのはジスカルドであって、僕ではない? ゲーム作家ジスカルドよりは、僕の中では鏡音リン調教師のジェ…

ドン・ウィンズロウ フランキー・マシーンの冬

フランキー・マシアーノは過去の世界と別れたはずだった。小さい釣具屋をはじめ、多くの職種に汗を流す日々。元妻と娘、素敵な恋人に会い、最高の波を待つのが楽しみな62歳のはずだった……。渋々受けたマフィア絡みの仕事から、彼は何者かに命を狙われる。俺…

乙一 箱庭図書館

小説家、コンビニ強盗、殺人鬼、読書に狂った面々……。物語を紡ぐ街でくりひろげられる奇跡。 読者から送られたボツ原稿を、乙一がリライトした作品集。まあ企画に賛否あるだろうけど、学園ラノベを皮肉ったような「青春絶縁体」や、短編ドラマで見たような「…

アラン・ブラッドリー パイは小さな秘密を運ぶ

英国の田舎で静かに化学実験に勤しむ、11歳の少女フレーヴィア。ある日、窓辺に放置された小鳥の死体には、切手が咥えられていた。それを見た切手好きの父は酷く怯えてしまった。翌日の早朝、フレーヴィアはキュウリ畑で赤毛の男の死に立ち会ってしまう。こ…

中西智明 消失!

狙われた赤毛の持ち主。その死体が消えた!? 犯人はどこに!? 高塔市で広がる恐怖に立ち向かうのは、若き名探偵新寺仁。 新本格を代表する作家たちがデビューして、当にこれからという時。90年に22歳でデビューした中西智明の代表作『消失!』を読んでみた。複…

デイヴィッド・ゴードン 二流小説家

ポルノ雑誌の人気SM女王の正体は、冴えない小説家ハリー。吸血鬼、スペースオペラ、ミステリを発表し続けるも、作家たちへの嫉妬は日々溜まっていくばかり。出て行ったガールフレンド、馬鹿にする女子高生、そして告白本を書いてくれと依頼してきた連続殺人…

中山七里 連続殺人鬼 カエル男

マンション13階から吊られた女性の全裸死体から始まる連続殺人事件。死体の近くには、必ず稚拙な犯行声明文が残されていた。まるで子どもがカエルをもてあそぶかのような事件に、マスコミは”カエル男”と名付けたが……。 第8回『このミス』大賞大賞を受賞した…

隆慶一郎 一夢庵風流記

前田慶次郎の生涯とはどれほど絢爛だったのか。柴田錬三郎賞を受賞した、漫画版も有名な歴史小説を唐突に読んでみた。秀吉天下で落ち着きを見せた時代に、前田慶次郎は何を思い、何を綴ったのか。何時もミステリを読んでいると、時々こういったものが読みた…

ブライアン・グルーリー 湖は餓えて煙る

ある冬の夜、湖に打ち上げられたスノー・モビル。これは十年前に事故死した英雄、少年アイスホッケーの監督のものなのか? あの事故は隣接する湖だったのではないか……。取材にのり出した元選手、地元新聞記者のガスは、知らぬうちに町の暗部へと踏み込んでい…

ジェイムズ・P・ホーガン 星を継ぐもの

月面調査員によって発見された、宇宙服を着た謎の死体。調査の結果、それは死後5万年が経過していた……。彼は誰で、どこから来たのか? 全世界を魅了する解明プロジェクトが動き出す。 本棚で見かける度に再読したいなあと思っていて、漫画化が機になって丁度…

スティーヴン・ハンター 狩りのとき

ボブ・リー・スワガー海兵隊一等軍曹に襲いかかる弾丸。ベトナム戦争下で表れた謎のロシア人スナイパー。プロの闘いはあの地獄に置いてきたはずだった……。家庭を持ったボブを再び恐怖に追い詰めるのは、あいつなのか? 家族を守るために彼は銃を手にするが……。…

貴志祐介 ダークゾーン

目覚めた瞬間、殺戮の七番勝負が始まった。見覚えのある面々が駒となり、キングである塚田を守らなければならない。しかし、この世界は夢なのか? ここは本当にかつて恋人と訪れた軍艦島なのか? 謎を追う時間も与えない敵駒たちとキング。塚田たちはこの悪夢…

インガー・アッシュ・ウルフ 死を騙る男

平和で小さな町を襲った殺人事件。お飾りの女性署長は誠実に事件を追う。しかし他の田舎でも、同様の手口で人々が次々と殺されていた。管轄を越えて翻弄される署長たち。そして連続殺人犯ベラドンナの目的と正体は……。 ”北アメリカの純文学作家の変名”による…

我孫子武丸 弥勒の掌

妻が殺され、汚職の疑いをかけられた刑事。浮気後、冷めていた妻が突然失踪した教師。奇妙な2つの事件は、やがて宗教団体に収束されていくが……。 発売当初に読んでいたけど、面白かったと思いだして再読。サスペンスの見本のようで、スラスラ読めるし驚ける…

冲方丁 テスタメントシュピーゲル 1

近未来ウィーン。人種・文化・技術が集結する国際都市ミリオポリス。警察部隊MPBに所属する3人の特甲児童たちは、それぞれの未来と過去を見つめようとしていた。しかし、またしてもテロ事件が発生。世界を震撼させる被害者。都市に眠る爆弾。その裏には”彼女…

10年度読んでよかった本

今年(昨年だけど)はこれがよかった! という自分なりのベスト(05年版)(06年版)(07年版)(08年版)(09年版)。本読んでなかったよね、というすんごいゲームをしていた1年だった。約2/3が海外だったことも合わせて、言い訳としておきたい。あとtwitte…