須賀しのぶ アンゲルゼ ― ひびわれた世界と少年の恋

今年から刊行された須賀しのぶの新シリーズ『アンゲルゼ』を3巻まで一気読み。素晴らしいですよ!ヒロイン陽菜の性格は、『流血女神伝』シリーズのカリエとは正反対で、朱に染まればなんとやら。それなのに『キル・ゾーン』のような世界に生まれて、近代伝奇要素”天使病患者アンゲルゼと戦う”、まるで山下卓BLOODLINK』を粛正していくような物語。そしてお祭りデートやら花火やら、初恋やら幼馴染との不理解やら、日本の青春を詰め込んで、こいつは何度読んでも美味しい作品になりそう。
1巻では巻き込まれ型の少女視点で書くセカイ系だが、2巻あたりから少年視点で世界で何が起こっているのかを探っていく非セカイ系を展開。3巻では交差し始めて……と、あまり見られなかった書き方だと思う。その辺も注目したい。
あまりの痛々しさに、おじさんキャーキャー言いながら読んでしまったのは恥ずかしいよ。でも大満足。これから思いっきり身もだえさせてくれることに期待だ。

アンゲルゼ―最後の夏 (コバルト文庫)

アンゲルゼ―最後の夏 (コバルト文庫)

アンゲルゼ―ひびわれた世界と少年の恋 (コバルト文庫)

アンゲルゼ―ひびわれた世界と少年の恋 (コバルト文庫)